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【週末投稿】つれづれ有用植物#120(イネ科コウボウ属:バイソングラス)
香りを楽しむハーブは、そのままでも香る、手で擦って香る、乾燥や発酵させて初めて香るなど様々なものがありますが、長い歴史を経て偶然の出会いや、試行した結果有益であることが判って、多用な文化に寄与してきました。
PinguBanana のこの植物との出逢いは、まだとても浅くタイトル写真にもあるように、「ズブロッカ」と呼ばれるお酒の香り付けに、この植物が利用されている事を知ったのがきっかけでした。
■ズブロッカというお酒
ポーランド東北にある「ビャウォヴィエジャの森」で採れるバイソングラスを漬け込んだウォッカです。瓶内にはバイソングラスの葉一本が、手作業で入れられるそうです。桜餅に似た柔らかな香りとまろやかな飲み口が特徴。
ポーランドのスピリッツメーカー1社だけが、バイソングラスを使ってウォッカを作る事を政府に許可されているそうです。
昔ヨーロッパでウォッカ製造時、蒸留技術が十分ではなかった為、残留物が多く残り強い癖の香りが残っていたそうです。その癖ある風味を隠すため、ハーブや果物の抽出液を添加した「フレーバードウォッカ」が作られました。その流れで「バイソングラスのエッセンス」も同じように使われたそうです。
バイソングラスは、聖牛「ジュブル」が好んで食べると言われており、現在はユネスコ世界自然遺産登録された「ビアウォヴィエジャの森」にしか自生しない貴重なイネ科の植物とされています。ズブロッカのラベルに描かれいる牛がジュブルです。森に生息しているバイソン(野牛)は聖なる牛(ジュブル)とみなされたのですね。
■バイソングラス(スィートグラス)とは
バッファローグラス、ズブロッカ草などとも呼ばれ、ポーランド語で「ジュブルフカ」、英国では「ホーリー・グラス」、園芸ではスィートグラスと呼ばれています。
ユーラシア北部と北アメリカに分布し、国内各地にも自生しています。
実は「ビャウォヴィエジャの森」以外にも自生していたのですね。
北米大陸のネイティブ・アメリカンの間では、神聖な植物として祈りの場や自らの魂を浄化するために伝統的に使われてきました。
この植物はイネ科の耐寒性多年草で、日当たりの良い草地に生えて、高さは20~50センチになります。4月から6月ごろ、円錐花序に黄褐色の小穂をだします。乾燥するとクマリンの香気があります。ズブロッカはこの香りをウォッカに移したものなのです。
【乾燥させた、スィートグラス】
このクマリンという成分は、サクラの葉にもある成分である事から、乾燥させたスィートグラスは「桜餅に似た香り」と形容される事が多いです。
スィートグラスは乾燥させないと、サクラ香がほとんどしないのですが、乾燥させてから数日後には香りが強くなり、その後なにもしなくても香る度合いが少なくなるようです。
またホワイトセージと同じように、スマッジング(浄化)として利用もされています。
今では苗を入手する事も出来、高知県では国産有機栽培に成功したというニュースもあります。
気に成る方は、試してみたらいかがでしょうか。
PinguBanana は今期、苗を買ってみようと思っています。