【週末投稿】つれづれ有用植物#71(マメ科ウマゴヤシ属:アルファルファ)
私は学生時代に、酪農の話題で「アルファルファ」を習った記憶くらいしかありませんでした。今回ご縁があって、この植物と付き合う事になりまして、調べてみると。まぁ色々と面白い事が判りましたのでご紹介したいと思った次第なのです。
草丈は40~100cmくらいになり、葉は三出複葉で互生します。茎は中空です。開花期は6~8月で紫色の蝶形花を咲かせます。多年草で毎年元気よく成長します。アルファルファの日本名は「ムラサキウマゴヤシ」と言います。
この牧草を馬が食べると肥ることから、この和名がつけられたそうですが、馬はこの牧草をあまり好まないそうです。
この植物は根が地中5~10mにも達して栄養分を吸い上げることや、マメ科特有の「根粒菌」の共生により、ヘクタールあたりのタンパク質生産量は、穀物あるいは脂肪種子作物よりも高いそうです。「牧草の王者」とも呼ばれ、世界で最も重要な飼料作物とも言われています。
私たちが身近に感じるのは、アルファルファのスプラウトでしょうか。サラダやサンドイッチなどに入れたり、パリパリする食感と爽快感があるので、肉料理などにも添えられます。
葉を乾燥させたものは、緑色をしたハーブティとして飲むことができ、種子は黄色の染料になります。さらにプロテインや各種ビタミン、カロチン等が含まれているので、健康食品としてサプリメントにもなっています。
明治時代に牧草目的で導入されましたが、多湿で酸性土壌の多い日本では生産が芳しくありませんでした。その後、日本で耐病性・耐寒性を持つ品種が作られて栽培が広まっています。
最近では無肥料・無農薬の自然農法にもアルファルファが取り入れられています。アルファルファを育てた土壌は、保水能力の向上、土壌有機物の増加、数種の病原体の軽減による効果が確認されています。
有用植物であるアルファルファにも、実は外敵がいます。
マメ科植物の害虫である、アルファルファタコゾウムシです。昭和57(1979)年に日本で初めて発生が確認され、西日本に広がりを見せていました。アルファルファだけでなく、蜜源用レンゲや野草の「カラスノエンドウ」で多発生し、北へ勢力を伸ばしている様です。
しかし強い味方が現れました。「ヨーロッパトビチビアメバチ」というアルファルファタコゾウムシの幼虫のみに寄生する蜂です。永続的な効果があるそうで、今では国内関係諸機関の評価を経て、2014年に生物農薬「ヨーロッパトビチビアメバチ剤」として登録されました。今後の課題は、生物農薬の定着と永続性の方法を確立する事であり、現在は「日本養蜂はちみつ協会」がその一手段として「防除対策マニュアル」を出しています。
酪農、土壌改良、蜜源、健康野菜に活躍するアルファルファ、太古の昔から人類が栽培してきた植物の様です。これからも大切に守り、利用してゆきたいですね。