【週末投稿】つれづれ有用植物#262(スミレ科スミレ属:ニオイスミレ)
まずは、一般的なスミレの事をお話しましょう。
春になると、北海道から屋久島までの日本列島に広く分布して花を咲かせます。
面白い事にスミレの生き残り戦略は、アリに種を巣まで運んでもらい発芽できる場所を拡散するという方法なのです。種に脂肪の塊である「エライオソーム」という魅惑的な物質を付ける事で、アリが巣まで運ばせる方法を採っているのです。アリはこの物質だけ欲しいのですが、種から剥がれない為止む無く巣まで大きな種を運ぶ事になるのです。
さらに種の発芽力も強い事から、日当たりのよい土手や野原、道路や山道沿いなどに自生しています。平地や山間部の道ばたから都会ではコンクリートのひび割れ等からも顔を出すほど強靭です。
さて、ここからはニオイスミレについてお話しましょう。
「ニオイスミレ」はもともと日本には無い種で、西アジアからヨーロッパ、北アフリカの広い範囲に分布しており、香水の原料花として、古くから栽培されている種になります。
普通に目にするスミレと、ニオイスミレの違いを以下にまとめて見ました。
咲く時期の違い。
スミレは4月から咲き始めるのに対し、ニオイスミレは寒い冬から咲き始めます。花の香り
スミレは匂いがほぼありませんが、ニオイスミレは甘い香りが強く特徴的です。
ニオイスミレは、株が大きく育ち丸みのあるハート型の葉が大きいのも特徴です。花後も枯れず、夏の間も茂り続けています。花と葉は食べることができ、サラダに入れたり、紅茶やお酒に浮かべたり、ハーブティーにすることができます。
花を溶剤抽出した香料は甘いフローラルな香りで、以前はフローラルブーケ調の香水などによく使われていたそうです。安価な合成香料が発明されたため、現在では香料用にスイートバイオレットを栽培することは少なくなりました。しかし葉を溶剤抽出した香料は青臭い香りで、高級な香水の材料になるため、今もエジプトで少量生産されているそうです。
市販のスミレの花の砂糖がけのようにエディブルフラワーとして利用したり、薬用で内服したりしますが、大量に摂取することは避けた方が良い様です。種と根には毒が含まれていて、非常に危険なので、食べるときは花と葉だけにしておきましょう。
■ニオイスミレの育て方(4分弱)
ハイポネックス ジャパン 様