【週末投稿】つれづれ有用植物#106(イネ科エノコログサ属:アワ)
日本では古代より育てられ、イネより早く伝来し、縄文時代には栽培されていたことが確認されている最古の穀類作物でもあります。
古くから、ヒエとともに庶民にとっての重要な食料作物だったそうです。
かつてはアワだけを炊いて食べたり、粥(アワ粥)にして食べていたそうです。現在では五穀米(アワや他の雑穀と混ぜたもの)として、米に混ぜて炊いたり、クチナシで黄色に染めて酢じめしたコハダなどの青魚とあわせた「アワ漬」を正月料理として食べる程度になってしまいました。
中国ではアワ粥などにして今でも食べる機会は多いそうです。
【アワを含んだ、五穀米のご飯】
最近ではアワという植物を見たことが無い方も多く、タイトルにも載せた写真を初めてご覧になる方も多いのではないでしょうか。
【シロアワ】
アワには種の大きさにより大穂種(大アワ)と小穂種(小アワ)に分類する方法や、粘り気による「ウルチ種(ウル、粳)」と「モチ種(モチ、糯)」とう分け方もあります。
また品種は細分化されていて、
穂型では、円筒型、棍棒型、円錐型、猿手型、猫足型などに分類されます。穀粒の色分け区分としては、橙アワ、黄アワ、赤アワ、灰アワ、黒アワ、白アワがあり、中でも白アワが多いそうです。
PinguBanana の場合、アワと言えばペットショップの鳥の餌という印象が強く、穂の状態で売られているのを良く見かけます。
■植物としての特徴
一般に5月から6月頃に種をまき、9月下旬から10月頃が収穫の時期になります。草丈は150センチメートル前後です。秋になると穂は黄色に熟し、垂れ下がります。
寒冷地の春アワと、温暖地の夏アワに生態が分かれています。温暖で乾燥した風土を好み生育期間が3 ~ 5ヶ月と短いために、高地や高緯度地域でも栽培することができます。栽培地域は広いですが多湿を嫌う様です。
実は道端や荒れ地などで良く見かける「ネコジャラシ」、正式名「エノコログサ」がアワの原種とされています。
【アワの原種、エノコログサ(ネコジャラシ)】
エノコログサの実(種)の大きさはゴマより小さいですが、炒ってご飯にふりかけたり、お茶にして楽しむ事ができます。
【右はススキの穂、左の粒はエノコログサの種】
【ススキとエノコログサのお茶】
【左:エノコログサの種を炒ったもの 右:ゴマ】
エノコログサは変異が多く、熟すと種が黒くなるものや穂の色が赤っぽいもの黄色いものなどいろいろと見かける事ができます。
現在では、主食用であった「うるちアワ」よりも、菓子やアワ団子・粟餅、酒などの原料として用いられる「もちアワ」の方が多く栽培されています。