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【週末投稿】つれづれ有用植物#264(ビャクダン科ツクバネ属:ツクバネ)

本州・四国・九州の一部(佐賀県・長崎県・大分県)の山地の林下や林縁に分布しています。雄雌異株で他の樹木に半寄生する、落葉低木です。
ツクバネの由来は、実の先端に4枚の大きな苞が残り、その姿が羽根つき衝羽根(つくばね)に似ているため、この名があるそうです。ちなみに羽根つきの実は、「ムクロジ」という木(ムクロジ科ムクロジ属の落葉高木)の実です。

ビャクダン科の樹木は熱帯に多く、日本に分布するのは本種のみです。
ツクバネはツガ、モミ、アセビなどに根に自分の根を絡ませて栄養を頂いて育ちますが、ツクバネ自体も淡緑色の葉で光合成を行っており、宿主に完全に依存している訳ではない為、「半寄生」という表現をします。

高さは 1 m 前後の小さな株が多い様です。幹は直立しますが、数多く分枝して水平に伸び、枝先はやや垂れ下がります。一年枝の樹皮は、はじめ緑色で古い枝は淡白灰色から赤褐色になります。老木では荒れた肌合いになる様です。

花期は晩春から初夏(5 ~ 6月)頃です。
雄株と雌株が隣り合って生育していることが多いそうです。
花は淡緑色で径約 4 mm と小さく目立ちません。

【雌花】

果期は10月です。
果実は長さ 7 ~ 10 mmの卵円形で、その先端には花の後に長さ 3 cm ほどに大きくなった苞が残り、羽根つきの羽根に似ています。。果実は冬に熟します。

果実が落下する時、羽根つきの羽根のようにクルクル回転して落ちてきます。

■ツクバネ・果実(3分強)
【公式】京都府立植物園 様

果実は正月の茶花として、おせち料理にツマや飾りつけとして使われています。新芽や若葉を茹でたものは食用にできたり、若い果実も塩漬けにして食用にできます。茶懐石料理で吸物として用いられたことが古今茶湯集に記されています。

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