春季大会を終えて ~北海学園の壁は厚かった~
お久しぶりです。前回の投稿から,だいぶ時間が経ってしまいました。今回は,5月3日に行われた将棋の大会について,振り返っていきたいと思います。
大会名は春季大会団体戦(正式名称は知らないです)。出場チームは道内の6つの大学から計6チーム。北海道大学,北海学園大学,旭川医科大学,室蘭工業大学,釧路公立大学,そして私の所属する小樽商科大学。1局目から最終局までの経過を,対局内容と共に振り返りたいと思います。
1局目 対室蘭工業大学
1戦目は,室蘭工業大学さんとの対戦となりました。私が入学してから,一度は団体戦で対戦したいと思っていた大学。念願の初対戦です。先手となり,相手の方は三間飛車を選択しました。結果から言えば,終盤の入り口で千日手指し直し。ハッキリ言って千日手局は負けでした。千日手は完全にラッキー。
これ,普通に桂馬で受ければいいや~って思ってました。さて桂馬を・・・というところで気づいた。桂馬打てないじゃん。金を上がって受けましたが,当然△2二金です。以下▲3一龍と△3二金,▲2一龍と△2二金を繰り返し,千日手。指し直しが決まった時点で,既に両者30秒将棋。こうなると,くぐり抜けてきた修羅場の数の差を生かして逃げ切りたいところ。ということで指し直し局へ。
第1局 指し直し
ということで,指し直しなんですけど,これも対三間飛車になりました。今度は角道をギリギリまで開けず,石田流にあえて組ませました。浮いた飛車を狙いつつ,玉の頭に照準を合わせました(便宜上先後逆)。
5筋の歩を伸ばしているのが,やってみたかった形。「8筋の位,何があった?」と思う方,絶対いますよね(普通は気になるかと思うが)。これですね,覗きに来た角を追い返すために突いた歩を守るためこうなりました。確か何かの本に「ヘルメット美濃」って載ってました。まあ僕の場合,ヘルメットで終わるようなことはしないですが…
そんなことはさておき,5筋を伸ばした結果,振り飛車は角を使いにくい。となると,「確実に5筋反発する→5筋のやり取りが,居飛車の陣形に大きく影響しなければ,歩を持駒にできる」と考えたわけです。実際もそうなりました。
こうなると,浮き飛車が負担になりそう。3筋の歩を突いて,攻撃開始。
結局こんな感じで収めるつもりでした。あとは1筋で上手く香車を回収して,9筋から攻め倒す,みたいな構想を描いていましたが,「これは間に合わないな」と考えて,ちょっと予定を変更。振り飛車側の飛車をどうにか3四に移動させたい・・・
なんだかんだで,3四に飛車を移動させることに成功。飛車を移動させた意味ですけど,簡潔に言えば,「終盤で質駒を作りやすくするため」です。どこかで4三に角を打てば,金か飛車はほぼ確実に手に入れられます。4筋に飛車がいると,少し難しいので…。ここまで来たら,あとは攻め倒すだけ。ヘルメットが進化します。
ヘルメットがロケットになりました。桂馬を跳ねられると難しいところですが,歩を連打して問題なしと見ていました。
数手進めました。香車で抵抗してきた局面。この対局のポイントになりそうな局面だと認識していました。ここで▲6六角と出るのが味のよい活用だと思い,実際にそうしました。端に角と桂馬の利きが一気に集まり,快調に攻めているように見えますが,玉が薄いので反発が怖いところ。
結局,端はあっさり食い破りました。「楽勝じゃん。あざっス」と思ったのが悪かった。何を血迷ったか,▲3六香と打ったのです。何やってるんだろう…。当然△5三金などで逃走されるので,ここは慎重に攻めるべきだった…。
玉のスクワット運動(上下に振りまわされていただけだが)も終わり,香車を取られた局面。テキトーに上から銀を被せても勝ちそうな局面だが,もっと気持ちよく決めたい!と思ったので,▲8八玉と引きました。相手の方が安全な手しか選ばないのを数十手前から見ていたので,逆用させていただきました。実際に△9一香とヒモをつける手を選択。これを待っていました。▲9二歩と打ち,△同香。まだ相手の方,何が起きるのか理解していませんでしたが,▲9一角で表情が一変。
これが猛烈に厳しい。△6二玉は飛車を下ろして▲5五桂が痛い。実戦は△8三玉だが,▲8二飛 △9三玉に▲8四飛成とバッサリ行くのが成立してしまう。以下△同玉ですが,▲6六角に合駒が飛車しかないのが後手のツラいところ。つまり,数手前の▲8八玉は,後手の持ち駒を歩だけにするためだったのです。
以下△9四玉ですが,▲9五歩として即詰みとなりました。勝利したものの,他のメンバーの結果によりチーム全体で2勝3敗。チームを勝ちに導けないのは,部長としては半人前ですので反省です…(なお,スケジュールクラッシャーの素質は健在の模様)
2局目 対北海学園大学
2局目は,北海学園大学さんが相手。前年秋の大会で敗れた,因縁の相手です。3トップのうち2人が卒業し,弱体化したともいわれる学園さん。ここでトドメだ!と思って対局に臨みましたが,結果は果たして…?
戦型は対四間飛車。また振り飛車。そんなことはさておき,後輩に「先輩,5筋か玉頭で位取ってくださいよ」と言われたので,5筋位取りを選択。使いこなすのが難しく,学生間では絶滅したと言っても過言ではないくらい見かけなくなりましたね。
上の図から,▲4六歩と仕掛けました。△6五桂と跳ねられましたが,無視して▲4五桂。△5七桂成以下,銀と桂の交換で一時的に駒損ですが,後手も一瞬歩切れ。2筋突破も実現する可能性が高く,不満はない局面と見ていました。
5七で銀桂交換をしましたが,4五でも銀桂交換。駒割は互角に戻りました。上の図で振り飛車側の手番。△6五銀がいい手でした。角に当てつつ,△7六銀も狙う一手。なるほどと思いましたね。こちらは△5五角と飛び出される手を常に警戒する必要があり,角を渡すわけにはいきません。ということで▲8八角ですが,△8四桂が当然ながら厳しい手。その後,いろいろあって局面がカオスになります。
「玉の守りは金銀3枚」と言いますが,1枚もいません。みんな持駒へ。上の図では居飛車の手番ですが,渾身の勝負手・▲2八角を放ちました。評価値は知りませんが,感触はよかった。金か銀ですぐ受けるのは角の利きが強烈ですので,△4六歩と焦点に捨ててきましたが,▲4六同角で後手は歩切れ。これを狙っていました。以下△7三銀と受けさせて弱体化に成功。▲4二とで飛車を回収して,反撃の準備は整いました。
結局入玉をちらつかせて駒を使わせ,中盤に打った△8四桂を逆用する形で安全地帯に逃げ込むことに成功。「カッコよく決めたい」と思い,上の図から△7一飛 ▲同龍 △同玉に▲6一金と打ったつもりでしたが,実際には▲6一飛と打ちました。頭が真っ白になりかけましたが,先手は飛車金ゼットの形。冷静に▲5二金~▲6三銀と追いかけ,最後は華麗に角捨てまでで勝ち!
ただ,2勝3敗でチームとして負けたのが悔しかった。もう少しだったなぁ…
最終局 対釧路公立大学
最後は釧路公立大学さんとの対戦。エースの小池さんが就活のため不参加。これは絶好のチャンス(失礼ですな)。ここで一発入れたるわいと思い臨んだ対局。「玉頭でも位取ってみるか」と思い,急遽玉頭位取りを採用。
だいぶ挑発的な局面かもしれません…。この瞬間,△8三銀~△7二飛もあるかなと思いましたが,よく見ると▲8九玉~▲8八飛で,こちらのパンチが一瞬早く入りそうです。実戦では,△8三銀∼△7二金で銀冠を目指してきたので,▲8九玉∼▲8八飛と”市電飛車”を炸裂させて,上から潰しに行きます。
(注意:1段目を走るのが”地下鉄飛車”なので,2段目は”市電飛車”,3段目は”モノレール飛車”と勝手に呼んでいます。)
こんな感じで圧迫したら,飛車はお役御免なので元に戻しました。あとは普通に居飛車を指せばいいし,タイミングよく▲7八金∼▲9七角∼▲6八銀∼▲7九銀で固くなるので,居飛車が十分指せる分かれかな,と考えていました。
と思ったのも束の間,振り飛車側から形を解しに来たので,それに乗じて上から潰すプランに変更。相手の銀を捕獲できそうです。実戦は以下,△9三歩 ▲4六歩 △9四歩と進みましたが,▲7四歩∼▲5三銀が強烈。大駒を全て回収することに成功しました。
最後は大差になりましたが,角のラインが怖い将棋でした。ウッカリすると頓死する可能性もあったので,桂馬をなかなか活用できずに終わってしまったのが反省です。
(3枚目の画像まで,後手の左香が一つ浮いていますが,正しくは1段目のままでした…)
最後はチームとしても4勝1敗で勝利。ホッとしました。
終わりに
最終的に今大会は4位でした。悔しくないと言えばウソになりますが,収穫も多かった大会だと思います。個人的には「学生大会の団体戦無敗」を継続出来たこと,対振り飛車の戦法を複数試せたことが嬉しかったです。全敗で終わってしまった部員のメンタルが少し心配ですが,秋まで時間があるので,樽商将棋部らしく,のんびりマイペースに頑張って欲しいです。
最後になりますが,大会を運営してくださった北海道学生将棋連盟の皆様,対局相手の皆様,その他大会に関わった全ての方に感謝申し上げます。ありがとうございました。