自分らしい「一生もの」購入を保留にした話
入社11年目(勤続10年)、35歳など最近節目の年があった。2023年は結婚10周年を迎える。
勤続10年のタイミングで、「自分らしい一生ものの何か」を買おうか悩んだことがあった。アクセサリーは結婚指輪と一粒ダイヤネックネスがあるし、きちんとした時計がいいかな、出身地岩手や自分の人生にゆかりのあるものがいいな、と思い調べると、SEIKOではと気づいた。
岩手県雫石町には隈研吾さんがデザインした木を生かした同社の建物があり、メンズには岩手山モデルがあり、岩手出身の大谷翔平選手が広告に起用されている。かつては東京の東のほうに工場を構えていたので、わたしの勤務地とも遠からず…調べていくとレディースの雪白モデル「STGF359」が候補に挙がった。20万円台なので、会社員の清水買いとしては、安いとまでは決して言えないが、なんとかいけそうな価格ではある。
雪白モデル「STGF359」は、長野の穂高連峰(SEIKOはクォーツ式時計を長野で作っているため)をモチーフにしているそうで、白くきらめく文字盤もブルーの秒針も素敵だ。青い球団を推しているので、信仰(球団を愛する)心?もアピールできる。長野はセリーグで一番好きな横浜DeNAベイスターズの牧選手の出身地で、パリーグで一番好きな西武にいる山川「穂高」選手は岩手県の富士大学出身だ。わたしのための時計といっても過言ではないのでは?
銀座に行った際に、SEIKOには店の前に警備員さんがいて、ほんとうに初めてで今日一切買う気がないわたしには敷居が高く、近くの和光で試着させてもらった。「ガラスケースの中のものの試着をしたのは、結婚指輪とかヨドバシカメラとか、そのくらいだなあ…。」と考えれば考えるほど緊張して、その結果、つけた際の腕の写真を撮ってもらうのを忘れる痛恨のミスを犯した。値段も値段なので、検討しますと言って帰ってきた。夫からは、わたしの腕には少し大きめに見えたといわれた。
この手の「一生もの」のクォーツ時計、一生ものとは言われるが、電池交換が必要なのはもちろん、数年に1度オーバーホール(分解洗浄)をする必要がある。インターネットでざっと調べると、電池交換は5,000円くらい、オーバーホールは40,000円くらいなので、その前提で生涯コストを計算してみる。(とりあえず自分で交換手配ができる体力気力資力が80歳まである前提かつ、オーバーホールに電池交換が含まれる推測で計算しています。)
35歳:286,000円 新品購入
38歳: 5,000円 電池交換
41歳: 40,000円 オーバーホール
44歳: 5,000円 電池交換
47歳: 40,000円 オーバーホール
50歳: 5,000円 電池交換
53歳: 40,000円 オーバーホール
56歳: 5,000円 電池交換
59歳: 40,000円 オーバーホール
62歳: 5,000円 電池交換
65歳:40,000円 オーバーホール
68歳: 5,000円 電池交換
71歳:40,000円 オーバーホール
74歳: 5,000円 電池交換
77歳:40,000円 オーバーホール
80歳: 5,000円 電池交換
電池交換8回40,000円、オーバーホール7回280,000円、合計32万円
購入費用よりも維持費用が高い!
今手元には電波ソーラーのBaby‐Gと、電波ソーラーのアナログ、シンプルなクオーツ時計、去年買ったスマートウォッチの4つがある。電波ソーラーの2本はたまに充電や電波受信のために窓際に置く程度で、約10年間元気に稼働している。スマートウォッチは入浴時に充電ケーブルにつなぐ。クオーツは近所のスーパー内の時計屋さんに電池交換を依頼する。(3分・1000円くらい)このクォーツは情報量が少ないところが気に入っているが、2~3年に1回の3分すら面倒に感じるときがある。そのわたしが毎回販売店に行ってメンテナンスを頼むだろうか。あるいはキットを取り寄せて発送し、受け取ることをどう思うだろうか。最終的に動かなくなって眠らせたりしないだろうか。一生ものの腕時計、本当に必要?
もう一点気になったのは、リセールバリュー。もちろん購入したら手放すつもりはないし、手放さないような経済水準を維持できるよう努力するつもりであるが、GrandSEIKOは中古市場においてあまり人気が高くないらしい。ここ数年レディースの一番人気の時計はCartier(カルティエ)、一番人気のバッグはHermès(エルメス)。「自分らしい」と言いながら、自分らしさとは丸いか四角いか、大きいか小さいか、どの色にするか程度であり、結局Hermès・Cartierに収束する人のなんと多いこと!
(Hermès・Cartierを貶す趣旨ではありません。ブランドに疎いわたしでも予算が無尽蔵にあったら手にしてみたい素敵なものが多いと感じます。「自分らしさ」と言わずに、定番のこのブランドが好き!リセール1位最高!でいいのでは、という個人の見解です。)
2003年頃に、高校の日本史の先生が、「今の生徒は自分らしいものを買うといいながら、みんな無印の缶ペンケースを買っている」と言っていた。周りを見渡すと、まさにその通りであった。「バカの壁」でも個性はないというようなことを言及していた。いったん「自分らしい一生もの」かどうかで時計を買うのを保留にしようと決めた。電波ソーラーもスマートウォッチも、わたしは新しい技術すごい!便利!と感動して購入を決めた。手間もかからないところが気に入っている。一つのものを長く使うのも自分らしさであり、その時代の最先端技術に感動する・一生「感動」に投資していく、のもまた「自分らしさ」であり、一種の贅沢かもしれない。
(と言いながら、次のボーナスでしれっと雪白モデル買っているかもしれません笑)
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