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採用原稿から(K10)

 10月27日から11月9日までは読書週間である。勤務先では、仕事関係以外の本を読む人はあまりいないが、私は電車通勤のため、毎週1、2冊は読んでいる。読むのは主に小説、エッセーである。
 「読書離れ」を指摘する声は以前からあるが、必ずしもそうではないとの見解もある。結局、読む人は読むし、読まない人は読まないということなのだろう。でも、本を読まないなんてやっぱり勿体ない。
 先日読了した西村亨さんの小説「自分以外全員他人」に「他の人は皆、本を読まなくても生きていける人間だった。そういう人間は何か問題に直面した時、どうやってそれを乗り越えているのだろう」という一節があった。
 全く同感である。私は気の置けない友人が少ないから、精神的に追い込まれた時は何冊も本を読む。本を読まない人には、代わりに頼れる友人がいるのだろう。それはそれで恵まれているのかもしれない。
 人に裏切られたことは何度もあるが、本は決して裏切らない友人である。私は遅読家で一度に多くの本を読むことはできないが、それで本に逃げられるということもない。これからも新しい出合いがきっとあるだろう。


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