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味覚は子供の方が鋭敏で大人になるとだんだん鈍化していくらしい。
しかし、”舌が肥えている”という表現があるように、一般には大人になるに連れてより複雑な味わいがわかるようになると言われる。ではなぜ、舌の感覚機能は落ちてゆくのに、味わいの知覚はブラッシュアップされていくのか。
それは食べ物を食べた時に、口に入れた食べ物その物の味を感じるだけでなく、食べ物の見た目、香り、味、食事環境などによってトリガーされた記憶を一緒に再体験しているからだ。つまり、私たちが味覚であると感じているものは、実は舌の味覚細胞で感じたものだけでなく、食事を通して想起された記憶を一緒に味わっているのだ。
だから、たくさんの経験をし、記憶の蓄積が多い大人の方が、本来、舌の機能が優れている子供より、より深い味わいを感じることができるのだ。
食事は誰と食べるのか、雰囲気作りも大切だと言われる理由はここにあると思う。

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