BGAで繰り返し遊んでいるボードゲームの構造・特徴のメモ※注:制作目線・極軽量ゲーム除く)
はじめに
人が同じ行動を繰り返す場合、その背後には脳による利得の学習が想定されます。学習の本態としては中心的な役割を果たすと思われるYakovlev回路やPapez回路を含む大脳辺縁系が想定され、大脳辺縁系で分泌・消費されるドーパミンが多いほど、「ハマる」状態になる可能性が高いはず。
このような仮説から、ドーパミン分泌が促される状態がどのようにして作られているか考察して、メモしていこうと思います。
対象ボードゲームも内容のメモも随時更新していきます。
気になったり参考にして頂けたら”スキ”してもらえると私のモチベーションが上がります!
また、”フォロー”してもらえると今後の更新も追いやすいかと思います^^
どうぞよろしくお願いします。
対象ボードゲーム(基本的に拡張なしの基本状態)
アルナックの失われし遺跡
ポーションエクスプロージョン
十二季節の魔法使い
ブルゴーニュの城
ギズモ
ウェルカム・トゥ
シュレディンガーの猫
プエルトリコ
アークノヴァ
アイル・オブ・キャッツ
パンデミック
マルコポーロの旅路
ツォルキン
タペストリー
アルナックの失われし遺跡
基本の動き
①資源取得
②資源の勝利点化
①の構造
1.早取り選択式(資源追加で効率化が可能)
②の構造
1.研究(効率化特典あり)
2.討伐(効率化特典あり)
3.購入(効率化が主目的)
広義の利得体験や緊張と弛緩(ドーパミン分泌に関連する要素)につながる特徴の考察
ⅰ.②の際に必ずリソースバックや何らかの効果による効率化特典が付いていて、得した気持ちを得る機会が多い。
ⅱ.①の早取り要素は緊張感を生み出す要素として機能する
ⅲ.計画的効率化のフィードバックがすぐに得られる
その他ゲームの質の向上に寄与していると考えられる要素
ⅰ.手札と山札によって計画可能な範囲を限定することで思考可能性がコントロールされ、思考の負担感がすくない
ポーションエクスプロージョン
基本の動き
①資源取得
②資源の勝利点化
①の構造
1.色玉→パズル式(補助アクションによる効率化あり)
2.ポーション→選択式
②の構造
1.ポーション作成(効率化特典あり)
広義の利得体験や緊張と弛緩(ドーパミン分泌に関連する要素)につながる特徴の考察
ⅰ.限られた選択肢から最適解を発見することによるいわゆるアハ体験
ⅱ.手番が回ってきた時点での盤面運と連鎖のルールにより、大量の資源が得られるターンがある(毎回ではないこともドーパミン分泌刺激としてはプラスに作用していると思われる)
ⅲ.計画的に資源を得ることでポーションが同時に複数完成する
その他ゲームの質の向上に寄与していると考えられる要素
ⅰ.”最適解を探す””計画的・効率的に勝利点を得る”という課題が分かりやすく示されている
ⅱ.成否のフィードバックに関して、色玉取得では即時に結果がフィードバックされ、ポーション取得ではそれよりもやや遅延してフィードバックされるため、ゲーム中連続的に計画性・効率化成否のフィードバックが得られる
SEASONS 十二季節の魔法使い
基本の動き
①カード選択
②カード獲得タイミングの計画
③資源選択
④召喚
①の構造
1.1枚ずつ選ぶドラフト式
②の構造
1.9枚を3グループに分け、ラウンド毎に獲得するカードを計画
③の構造
1.早取り選択式
ダイスが資源ジェネレータとなり、早取り式の資源獲得。
資源の種類:魔力トークン、召喚ゲージ、勝利点、カード
また資源とは別に変転アクションも含まれる
④の構造
1.召喚ゲージで召喚枠を確保し、魔力トークンや勝利点を消費してカードを場に出す
2.場に出したカードにより即時アクション、随時アクション及び常時効果が付与される
広義の利得体験や緊張と弛緩(ドーパミン分泌に関連する要素)につながる特徴の考察
ⅰ.カードドラフトはいくつかの利得体験要素を含んでいる。例えば最初に配られたカード群の中に特に強力なカードが含まれる場合。
他にも、先に選択したカードに対してシナジーを生み出すお得なカードを獲得できた場合や想定した戦略に沿ったカードが回ってきた場合等が想定される。特にこの部分での利得体験はゲームをよく知り、カードの特性やシナジーへの理解が深まるほど強化される。
ⅱ.ダイスにより供給資源が決まるため、運が良ければ後手番でも予期せぬ報酬が得られるという状況がゲーム中に時々発生する。
ⅲ.拡張込みではいくつかのカードシナジーにより大量の魔力トークンを変転して一気に多くの勝利点を手に入れられる機会がある
その他ゲームの質の向上に寄与していると考えられる要素
ⅰ.基本のカードセットではシナジー要素は若干弱いものの、初心者やカードの内容を知らないプレイヤーでも資源を得て場を肥やすという分かりやすい基本指針があり、ゲームを理解しやすい
ブルゴーニュの城
基本の動き
①タイルを得る
②タイルを配置する
③得点
①の構造
1.共通の場からの選択式(供給タイルとダイス目、所有上限による制限あり)
②の構造
1.制限付き配置(個人ボードの配置状態とダイス目による制限あり)
③の構造
1.早取り式+固定条件による得点
区画を埋めることによる得点(ラウンドが早いほどお得)、区画の大きさ による得点(大きいほどお得)、特定種類のタイル早埋めによるボーナス点、黄色タイルによる得点、動物タイルによる得点、商品出荷による得点
広義の利得体験や緊張と弛緩(ドーパミン分泌に関連する要素)につながる特徴の考察
ⅰ.タイル取得とタイル配置の両方に制限がある中で最適解を選ぶことによって効率的に高い得点が得られる。得点方法それぞれについて効率的な得点方法が感覚的に分かりやすいことで利得体験が発生しやすい。
ⅱ.ダイス目によって制約がラウンドごとに変化するため、狙った目が出ることによる利得体験の発生頻度に波が生じる。このことは利得体験の希少性に繋がり、ドーパミン分泌を促進している可能性がある。
ⅲ.早取り要素は常にプレイヤーに緊張を生じ、他プレイヤーの裏をかいて狙ったアクションを取れることによって緊張と弛緩のタイミングが多くのラウンドで経験される。ラウンド毎に予め供給されるタイルが公開されていることによって、この緊張と弛緩はより強化されている。
その他ゲームの質の向上に寄与していると考えられる要素
ⅰ.狙った目が出なかった場合でも調整可能な要素と直接得点につながる行動(出荷など)が取れるため、損失体験に繋がりにくい。
ⅱ.ダイス目によって制約内容が変化することで利得体験に慣れを生じにくくする効果が生じ、マンネリ化しにくくなっている。
ⅲ.特定種類のタイルを埋めることによるボーナス得点や船タイルによる行動順の変化、タイル取得など早取りの要素がゲーム全体に満遍なくちりばめられており、どの要素を優先するかによって得点効率が変わる。一方でゲーム状況によって得点効率順が変化するため早取りによる得点効率化の成功に対して有能感が得られやすい。
ギズモ
基本の動き
①資源を取る
②タイルを配置(構築)する
③タイルを保持する
①の構造
1.共通の場からの選択式(偏りあり)
②の構造
1.資源を支払い、タイルを配置する
③の構造
1.場、又は山札のタイルからの早取り・選択式
広義の利得体験や緊張と弛緩(ドーパミン分泌に関連する要素)につながる特徴の考察
ⅰ.タイル配置によりすべてのアクションに追加アクションが付く(後半になるにつれ、追加アクションセットが勝負の決め手となる)
ⅱ.場に公開された共通のタイル群から効率よくカード配置(構築)ができる道筋を考えることができるが、資源が共通であるため狙っているタイルがある場合、(常に横取りの可能性があるため)緊張が伴う。一方で資源不足でも一定数のタイル保持(アーカイブ)が可能であるため無事タイルを確保(或いは構築)するたびに弛緩タイミングが発生する。
ⅲ.追加アクションを連携させることで1アクションから大量の資源を得ることができるようになり、後半になるほど利得体験のサイズアップが起こる。
その他ゲームの質の向上に寄与していると考えられる要素
調査(山札から一定枚数を確認してアーカイブ又は構築ができる)の要素によって他プレイヤーによって場から消えてしまった選択肢の埋め合わせにチャレンジでき、偶発性による利得体験の可能性を持っており、狙っていたタイルを取られることによる損失感をケアできている。
今後の記事予定
ウェルカム・トゥ
シュレディンガーの猫
プエルトリコ
アークノヴァ
アイル・オブ・キャッツ
パンデミック
マルコポーロの旅路
ツォルキン
タペストリー
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