自我を抱きしめながら
思い通りにならないとイライラしたのかその辺にある物を手当たり次第投げ始めた
何かの本で自我の目覚めについて読んだのを思い出した。イヤイヤ期とも言われるあれか。そう思いながらずっと見ていた。
すると母親は子どもの近くにいきやさしくはなしかけはじめた。
「どうしたの?」
子どもの頃はこんなに素直に嫌を表現していたんだと思う。いつから私達は嫌を飲み込んで嫌を平気な顔をしてやり過ごす様になったのだろう。
子どもは母親の問いかけに何もしゃべらず首を左右に振るだけ。何がが嫌で物を投げ始めたら投げる事に気持ちがとられて嫌な気持ちだけが残ってしまったんだな…
それはまるで怒って文句を言って引き際がわからなくなった大人に似てる。
そう思っていた頃母親が子供を抱きしめた。
「周りの人に当たったらきっと痛いよ。どうするの?」
そんな事を言っていた。抱きしめながら怒るというのを初めて見た。
行き場のない子供の怒りはやっと行き場を見つけたんだろう。このままだと母親が悲しむ。そうおもったのだろう。こうやって近くの誰かの事をおもって怒りを沈めていく。
人が1人で生きていけないという始まりを目の当たりにした気がした。