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【生パスタ屋さん夫婦経営】「大丈夫」



「大丈夫。」


このことばを使うときは、相手を思いやって‥、
が、ほとんどだと思います。
しかしまれに、相手を傷付けてしまうこともある。大丈夫、には、両刃の剣のような面もあるとわたしは思います。


では、相手を傷付けてしまう「大丈夫」とはどんな時でしょうか?
例えばそれは。
ギリギリの精神で頑張っている人に、「大丈夫!」といったとき。そんなつもりはないのに、励ましたいと思っていたのに、逆に相手を追い詰めてしまった。
人の気持ちも知らないで!と、怒らせてしまったとき。
あなたの大丈夫ということばは、誤解によって相手を傷付けてしまうんです。




要するに「大丈夫」ということばには
あなたが思いやった気持ちが、まっすぐに届かない、少しナイーブな部分があるんですよね。


しかしです。そんな危険な一面もある「大丈夫」ということばですが、わたしはとても大好きなんです。なぜなら、それは、ひとを安心させることのできるやさしい言葉だから。そして使う人によって、ことばの深さが増す、不思議なことばだからです。


例えばですね。
今日、うちのお店(生パスタ屋さんです)に新人バイトちゃん、Nちゃんが入りました。初日ということもあり、こちらが心配してしまうほど、緊張でガチガチのNちゃん。なんとか彼女の気持ちをほぐしてあげたくて、わたしは声をかけました。


「大丈夫!大丈夫!」
「できる!できる!」
「失敗しても、大丈夫!フォローするよ!」


そんな風に声をかけ続けながら、時には背中をポンポン、としながら、彼女がすこしでもリラックスできるように、気を配っていました。


そのかいあってか、次第にえがおを見せてくれるようになりました!そうしたら今度は、少しずつ、仕事を頼むようにします。すると、彼女には自分の役割ができるんです。

ひとりで任された仕事をこなせるようになっていくと、「ここにいてもいい。」を感じます。自分の仕事を持つことにより、居場所を確立し、気持ちが安定するんですよね。


そして、わたしの思う大切なことはアルバイトさんに気持ちを楽に、安心して働いてもらうことです。
なので店の責任者であるわたしに「大丈夫」といわれると、少しでも心が楽になるのではないか?と、自分の高校生のアルバイト時代を思いだしながら、そんな思いをこめて、「大丈夫」と言い続けます。



また、こんなこともありました。
うちの旦那は今、身体に不安をかかえています。検査して、その結果を待つという、とても不安定な日々。


そんなときわたしが「大丈夫」といったら、もしかして彼を傷付けるかもしれない。
本人の気持ちを思うと、軽々しく、そんなこと、言えない。そう思っていました。


しかしです。わたしたちよりも、ずっと年上のお客様がこう言ってくれたのです。
「大丈夫!大丈夫!わたしもたくさん、病気したのよ。それでも元気!大丈夫!」


彼女はわたしたち夫婦の、親くらいの年齢です。病気もたくさん、乗り越えたと話してくれました。きっとそれが、ことばを強くする意味を持っているのでしょう。
彼女の「大丈夫」はけして軽々しくはなく、むしろわたしたちは、晴れ晴れとした気持ちになりました。


「大丈夫」

このことばの持つちからは本当に不思議です。それは使うひとの人生の背景が、ことばの強さとなって、宿るからでしょう。
だからわたしは、時にこのことばに振り回され、圧倒され、そして、なぐさめられるのです。

「大丈夫」


そのことばを他人のために使えるようになるには、わたしにはまだまだ、足りないものがたくさんあります。

わたしに足りないもの、それはきっとたくさんの人生経験と苦難を乗り越えたときに得られる、自分に対する誇りなのかなと、そう思います。

「大丈夫」を、やさしさがこぼれるような笑顔でいえるあなたのように。わたしも、そんな風に生きていきたい。そんな風に年を重ねたい。
そしていつか、あなたに励まされたわたしのように。年老いたわたしも、「大丈夫」というこのことばで、誰かを励ましてあげたい。


あなたに勇気づけられて、そう思いました。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!





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