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野中広務の地元秘書になる①

昭和61年4月19日に先輩秘書からの「オヤジが選挙あるっていうから『山田を事務所に来させておけ』って言ってるから明後日から事務所に出て来られるか?」という連絡から私は、ワクワクして4月21日の初出勤を迎えました。
 京都駅の八条口の新幹線改札口のある場所の八条通りを挟んで迎え側に、1階は、京都で有名な漬物の「大安」の倉庫、東隣は、国鉄OBがされている煙草屋さん、西隣は、中山コーヒー店、こうして書いていくと懐かしい想いがいっぱいであの頃の京都駅八条口前の風景が目に浮かびます。大安の倉庫の左にあるドアを開けると階段があり、そこを上がった2階に野中広務事務所があります。
2階にある野中広務事務所に9時前に入ると既に何人かの事務所の人が、バタバタして忙しそうに動いてました。連絡をもらった先輩秘書に、私はどうしていたらいいのかを尋ねると「今日は、机に座って事務所の様子を見ておけ」という指示でした。
じっとしているのが苦手な私でしたが、指示された以上は仕方がないので、机に座って何もすることなく事務所の様子を見てました。
朝からジャンジャン電話が鳴り、それを事務所のメンバーが電話に出て対応してました。ひとりの秘書は、祝電や弔電を何通も打つ作業に追われてました。この事務所の様子を見て私は、「野中事務所は、選挙中みたいな感じやな」と思いながら自分がついていけるか、率直、不安に思いました。10時過ぎになって事務所の筆頭秘書がいよいよ出勤してきました。野中先生の副知事時代の秘書で先が有望視されていたのに、野中先生に請われて京都府庁を退職して秘書になった私が憧れてる秘書のひとりでした。
その方は、机に着くなりタバコに火をつけて女性の秘書に、「コーヒーおば、頼んでもらえますか?」と言われました。すると頼まれた秘書は、「コーヒー飲む人いますか?」と尋ねて、全員手を挙げて隣の中山コーヒー店に電話で注文して、しばらくすると隣からコーヒーが届きました。
私は、「流石、衆議院議員の事務所は違うな。事務所で飲むコーヒーも喫茶店でとるのか」と思いながら、私もコーヒーを飲ませてもらいました。
筆頭秘書が出勤するまでに、その人宛にあった連絡を折り返し連絡して処理し、それが昼過ぎまでかかってました。その間にも、ひっきりなしに、事務所を訪ねてくるお客様や電話の数には、驚きました。
ようやくじっとしている午前中が終わりました。

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