プロのバナナ|毎週ショートショートnote
昔、バナナは高級品で病気の時にしか食べられなかった。
その頃の話。
私が小学生の時、風邪のため家で寝ていた。熱も少しあった。
母は買い物に出る時に「バナナを買ってくるから」
そう言って出かけた。
薄暗くなっても母は帰って来ない。
心細くなり、電気を点けようと体を起こした。
その時私は見たのだ。
小さいおじさん(25cm程度)が、私の目の前を歩いているのを。しかもバナナを一本肩に担いで、足を軽快に大胆に上げてリズム良く。
私の事など気にして無いようだったが、急に立ち止まり「プロのバナナ、買うか?」と私に聞く。
私は声もだせず、オーバーオールに青いキャップのおじさんを見送った。
私が呆然としていると母が帰宅した。
見事なバナナの房を見せてくれた。
まさにバナナの王者、プロのバナナ!
「あら一本、もいだ跡がある」と母は言った。見てみると房のど真ん中の一本が無い。こんなもぎ方、普通は出来ない。
プロのバナナ泥棒だったのかしら、あの小さいおじさん。
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たらはかにさん の企画です。
毎回、楽しんでいます。ありがとうございます。
小さいおじさんを見た事がありますが、人に言った事はありませんでした。
夢の可能性大ですし。
ただ、前に女性タレントの方が、小さいおじさんを見たことがあると話しておられたのを聞きました。
なので、もしかして…と半分思っています💦
私の見たおじさんは、バナナでは無く、釣り竿を肩に担いでました。 めい