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恋猫と シロクマ文芸部
恋猫と恋猫、二匹の猫が私の家の前に立ちはだかる。
私が好きな猫は、彼らではない。
その事をこの二匹の猫は知っているはず。すでに、理性は飛んでいるのだろう。
でも、私はどうにかしてこの場を逃げ切らなければならない。私の逢いたい猫は彼しかいないのだから。彼に会いに行きたい。
こんなことを我が家の猫、ヒメは考えて居るのではないか。
窓の外をもう小一時間も見つめている。
窓の外では二匹の猫がしきりにヒメを誘って大袈裟に鳴いている。
でもヒメは、タカシ君ちの猫のトムトムがお気に入りなんだよね。
ヒメは趣味が良いと思う。だってタカシ君ちの猫が好きなんだもの。
私はトムトムの飼い主が好き。ねっ、ヒメ。
今日はこの調子では無事にタカシ君とトムトムの家にたどり着けない気がする。
家の周りはオス猫が増えている。
と、そこにピンポン。
モニターで確かめると、タカシ君とトムトム。
ええっ!こっちに来てくれたんだ!感激!
玄関を開けると、タカシ君はトムトムを抱いて素早く中に入って来た。
「タカシ君!成功よ!雄猫たちはヒメに夢中よ!」
トムトムはヒメに寄り添い、二匹は優しい声で鳴き合っている。
AI猫を本物の雄猫には見破れなかったのだ。これを確かめたかった。
私とタカシ君は激しく抱き合って成功をたたえ合った。
私達二人もAIである事を少しの間だけでも忘れたいと願った私。
タカシ君はどう思っているのだろうか。
あ、彼の唇が……
了 586文字
小牧幸助部長の今週のお題『恋猫と』から始まる話に参加させて頂きました。ありがとうございます。
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