今のリハビリは納得したものですか?〜双方向の意思決定〜
リハビリ場面で一方的にリハビリスタッフから言われたことをしているという方も多いと思います。
内容や目標を理解して、納得して双方向でのリハビリであれば何も問題ありませんが、そうではなくリハビリスタッフもしくはクライアントの一方向でのリハビリになっている場合は疑問を持つべきです。
今回はリハビリを受ける側の心構えや準備について、Evidence-Based practice(EBP)の観点も含めて解説していきます。
双方向で考えるオーダーメードの意思決定
エビデンスという言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
エビデンスとは?
エビデンスとは、「証拠」「根拠」「裏付け」「形跡」といった言葉の意味があり、医療現場では臨床疫学に基づき集団で実証された知見のことです。
動物実験による治験も、ヒトを用いた実験的知見も科学的根拠となります。
EBPでは「エビデンス」「医療者の専門性や経験」「対象者の価値観」「対象者と医療者の臨床的状況と環境」この4つの観点から総合的に意思決定をしていきます。
なので、リハビリにおいても同様で一方的に言われたことを納得していない、理解していないのに決めていくということはありえないんです。
一方向でリハビリを進める従来の意思決定
リハビリの現場でのリハビリ方法を決める段階での会話です。
リハビリセラピストが患者さんへ一方的に説明と同意をしていますね。
このリハビリセラピストが経験豊富で対象者の価値感や背景、身体の状態、どんなリハビリをして、どんな目標を立てているのかを完全に把握していたらこの会話は成り立ちます。
しかし、生活期においては初対面や週1〜2回数回一緒に関わっているだけのリハビリスタッフでは考えられません。
そのうち、「いつまでこのリハビリ内容を続けるのか?」「本当に良くなっているの?適切なリハビリなの?」と疑問をもち不信感を抱く方が出てくると思います。そうなると信頼関係が築けなくなります。
双方向でリハビリを進める意思決定
では、双方向での意思決定について考えていきましょう。
この様にセラピストが適切と考えられるリハビリ方法を提示したのち、対象者と一緒に考え対象者自身が意思決定する流れになります。
双方向の意思決定によるメリット
リハビリ場面でセラピストと対象者による双方向の意思決定によるメリットは、『選択肢の幅が広がる』『責任を持って自分ごとでリハビリができる』『セラピストと信頼関係ができる』があります。
選択肢の幅が広がる
従来の意思決定であれば、一つのリハビリ情報しか提示されないケースが多いため、リハビリ内容がセラピスト次第になってしまいます。
もし自分に合ったリハビリでなければ「これで大丈夫なの?」など不信感につながります。
双方向の意思決定であれば、さまざまなリハビリ内容の選択肢を知ることができるため、一緒に選択した内容がもし効果を実感できなくても、他の選択肢のリハビリ内容にシフトチェンジすることができます。
責任を持って自分ごとでリハビリができる
選択肢の中から自分で意思決定をしたことによって、「自分がこれがいいと思って決めたからやりきろう」など責任が生まれます。
そして、人間の本質として、自分が決めたという責任によりリハビリ意欲も高くなりますね。
セラピストとの信頼関係がつくれる
双方向の意思決定では、セラピストから選択肢を提示したり説明し、それをふまえて対象者が選択する流れになるなど、会話のキャッチボールが格段に増えます。
そして、受け身のリハビリから、セラピストと一緒に進めていくリハビリに変わります。
これは同じ方向を向いてリハビリができているという、信頼関係がないと生まれないことです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
双方向の意思決定についてEBPの観点から特に対象者の価値観・意思決定の視点で記事をまとめました。
今まで言われるがままにリハビリをしていた方で体の変化を実感している方は良いのですが、そうでない方は自身の価値観を共有してセラピストと一緒にリハビリの意思決定ができいるかを今一度確認して欲しいです。
そして、受け身のリハビリから自分で選択できる自律できるリハビリへ繋げていくことがとても大切な視点になります。
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