アウトローへの挽歌 Eagles歌詞和訳

The Eagles ... the legend of the Rock band , in terms of their creation of great sounds and songs, and also comercializm success.
Among their many works, there is one album which sings for a wild bunch of outlaws in the last erra of Wild Western. It is Doolin Dalton gang.
I try to understand the concept of this album and translate the songs to Japanese for one to know the truth which has been unwritten.

イーグルスは伝説のロックバンドです。その創造性に満ちた楽曲と商業的成功において。そんな彼らのアルバムの中で西部開拓時代末期のアウトローを歌ったものがあります。そのあまり知られていないアルバムのテーマの解説を試みます。それが分かったらこのアルバムをより楽しむことが出来るでしょう。The Eagles アルバム「ならず者」Desperadoから3曲を選んで訳してみました。

Doolin-Dalton デューリン・ダルトン
Doolin Dalton (Reprise) 同じ楽想から始まり途中で「ならず者」の編曲が混入します。

歌詞の和訳と解説

 デューリン・ダルトン団はアメリカ西部開拓時代末期の強盗団。この歌はアルバム「Desparado」(ならず者)の冒頭を飾る。最後にまた「リプライズ」として新たに歌われ、アルバムのコンセプトが完結する。

 歌の構成は主人公(当事者達)の独白と、他の誰か、あるいは傍観者の言葉が自由に交錯する形になっている。短い歌詞とメロディーである情景を映し出すのはこうした自由さが必要であり、それが聞くものにあるときは難解さを感じさせ、あるときは深い感銘を与えてくれる。私の和訳もいちいちそれを指摘していると調和を乱すので、交錯をそのままにしている。
 また訳文の時制は出来るだけ守ったつもりだが、表現上重要でなければ、特に気にしてはいない。時制が気になる読者がいると思うので先んじて言っておく。もちろん、解読に重要な場合もある。例えば井原西鶴の文章などは特に気をつけないと、意味が正しく取れないことがある。
 これらの文学的自由と制限の交換は特に英詩だけのことではなく全世界の創作にも言えることである。

 この二連の楽曲の登場人物は、Bill Dalton(ビル・ダルトン)とBill Doolin(ビル・デューリン)。同じ名前だったので名字を連ねて呼ばれたらしい。この二人が首領で他の歌にも出てくる団員達がいる。
 Daltonはもと法律関係の仕事をしていたらしい。歌ではDoolinのほうが荒くれて野卑な感じを受ける。

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https://www.youtube.com/watch?v=CQhzrpZztl4

They were duelin', Doolin-Dalton
 奴らはデューリン-ダルトン強盗団
High or low, it was the same
 何をやってもうまく行かなかった
Easy money and faithless women
 汚い金とうわべだけの女
Red-eye whiskey for the pain
 目が赤くなるような安いウイスキーで痛みを癒やしたのに

Go down, Bill Dalton, it must be God's will,
 行けよ、ビル・ダルトン。こいつは神の啓示に違いねえ
Two brothers lyin' dead in Coffeyville
 お前の二人の兄弟はコーヒービルで殺されたんだぜ
Two voices call to you from where they stood
 やつらの声がお前を呼んでいる(*未確認:ポーカーの勝負を迫ってくる、お前の番だと言っている)
Lay down your law books now, they're no damn good+
 法律なんか守っても良いことは全く無かっただろ

Better keep on movin', Doolin-Dalton
 逃げ続けることだ、デューリンーダルトン団よ
'Til your shadow sets you free
 ほとぼりが冷めるまでな
If you're fast, and if you're lucky
 すばやく逃げてしかも運がありゃ
You will never see that hangin' tree
 縛り首の木は見なくて済むだろうよ

Well, the towns lay out across the dusty plains+
 さあ、埃が舞う原野に俺達の町々がある
Like graveyards filled with tombstones, waitin' for the names+
 名前が刻まれていない墓石に満ちた墓場みたいな町だ
And a man could use his back, or use his brains
 そして人間って体を使う奴もいれば頭を使う奴もいる
But some just went stir-crazy,Lord, 'cause nothin' ever changed
 でも 同じところで働かされて気が変になる奴もいる、何にも変わらないんだから!

'Til Bill Doolin met Bill Dalton+
 ビル・デューリンがビル・ダルトンに会うまで
He was workin' cheap, just bidin' time
 安い賃金で働かされていたんだ、ただ時間が過ぎていくだけ
Then he laughed and said,"I'm goin,"
 そして彼は笑って言ったんだ「俺は行くよ」
So he left that peaceful life behind
 そういうわけでビル・デューリンは平和な暮らしを止めたってわけさ
ah...
mm...

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 そして9曲おいてリプライズが始まる。曲中にある
”Sooner or later we all have to die?”
”Sooner or later, that's a stone-cold fact,”
の部分は構成的にも楽曲的にも文学的な余韻を醸し出している傑出した部分である。

 中盤からアルバムの5番目の曲、有名な「Desparado」のサビの部分のメロディーが挿入される。強盗団の人生をポーカー・ゲームの手で表現している。曲の「Desparado」の同じ部分と対句的になっており、「Desparado」の主人公の運命による最後の展開に入ってくる。どうにもならなかったアウトローの荒れた人生が映し出される。

 そして、死体が並んだアルバムの表紙からEaglesのメッセージを想像するならば、最後に「撃ち殺された自分の死体」を見つめているであろう主人公の魂(多分、ビル・デューリン)との掛け合いがあり、誰かが
”Is there gonna be anything left, is there gonna be anything?”
”Ain't it hard when you're all alone in the city rain?”
と同情するように訪ねかけるフレーズも美しい。

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Doolin-Dalton/Desperado Reprise

https://www.youtube.com/watch?v=bacQsuyHq-s

Well the stage was set the sun was sinkin' low down
 さあ、ステージはセットアップされた。日が沈んでいく。
As they came to town to face another showdown
 そして彼らは新たな勝負にやってきた。
The lawmen cleared the people from the streets
 保安官達は通りから人々を追い払いながら言う。
"All you blood -thirsty bystanders, will you try to
find your seats?"
 「血に飢えた人々よ、良い席を見つけたかい?」
Watch 'em duelin' Doolin-Dalton
 人々はデューリン-ダルトン団と保管官達の決闘を待ちに待った。
High or low ,it's all the same
 手の内はハイカードか?ローカードか?そんなことはどうでもいい。
Easy money and faithless women
 盗んだ金にうわべだけの女。
You will never kill the pain
 そんなもんじゃ痛みを癒せないんだ。

Go down, Bill Doolin, don't you wonder why
 町に行くんだ、ビル・デューリン。疑問なんか捨てちまえ。
Sooner or later we all have to die?
 遅かれ早かれみんな死ぬんだろ?
Sooner or later, that's a stone-cold fact,
 遅かれ早かれ、それは冷たい石と同じくらいに事実だ。
Four men ride out and only three ride back
 四人馬に乗り、帰りは三人になる。(お前が死ぬのさ)

(ここから同じアルバムの5番目に収録されている曲「ならず者」の中盤のメロディーが再現される)

The queen of diamonds let you down,
 ダイヤのクイーンはお前を失望させた。
She was just an empty fable
 だって彼女は単なる空想さ。
The queen of hearts you say you never met
 ハートのクイーンには会ったことがないって?
Your twisted fate has found you out
 お前の捻じくれた運命がお前を見つけ出して、
And it's finally turned the table
 最後の手を配ってくれたんだ。
Stole your dreams and paid you with regret
 お前の夢を奪い取って後悔を味あわせたね。

Desperado
 ならず者よ・・・
(Is there gonna be anything left, is there gonna be anything?)
 (他に何か残ってないのかい?他の何かが?)
You sealed your fate up a long time, long ago
 お前は自分から自分の夢を奪ったんだ・・ずっと昔に
(Ain't it hard when you're all alone in the city rain?)
 (町に振る雨に一人濡れてきつくないかい?)
Now there's no time left to borrow
 ああ、もう借りる時間もない・・
(Is there gonna be anything left?)
 (何か残されたものはない?)
Only stardust
 星屑だけさ・・
(Maybe tomorrow)
 (多分、明日になったら)
Maybe tomorrow
 ああ、多分明日に。(明日があれば・・・)
Maybe tomorrow
 
Desperado
 ならず者・・・
Desperado

(Doolin Daltonとリプライズの章はここまで)

Desperado ならず者

 この曲はアルバム「Desperado」の中の5番目の曲である。
 「Desperado」はDoolin-Dalton団というアメリカの西部開拓時代末期の実在の銀行強盗の一味のことと推測できる。この強盗団は Bill DaltonとBill Doolinという2人のアウトローが首領。Coffeevill(コーヒービル)という街でのシェリフとの銃撃戦が有名。一時、ユナイテッドスタジオ(大阪)のアトラクションでその決闘場面をやっていたのを目撃したことがある。

 「Desperado」は全曲がこの強盗団のメンバーのことを歌っていると思われる。ちなみにアルバムの表紙は、Eaglesの面々が、拳銃のホルダーを付けたまま横たわっている死体に扮して写っている。

 よって、全曲を聴くとこの曲の位置づけが理解できる。想定は牧場の牛が逃げないようにフェンスを見回る仕事をしている荒くれ者(デスパラード)。Bill Daltonは法律関係者だったようなので(アルバムの最初の一曲で法律の本を置け、という歌詞がある)、強盗団に入る前のBill Doolinか、あるいは他の男ではないか。
 ポーカーの勝負の光景と心情をうまく組み合わせて作詞しているが、韻を踏むためか、故意に抽象的な詩文を含んでいるので分かりづらくなっている。これだけの内容を一定の韻を踏んで盛り込むのはやはり難しかったらしく、諦めてしまった節や苦労したことが分かる節がある。例えば、

You're loosin' all your highs and lows+
Ain't it funny how the feeling goes .. away?

で、lows と goes は韻を踏んでいるが、意味を完全にするためにメロディのしばらく跡に away を置いて、内容と韻を成功させているという具合だ。

 この曲は、ポーカーのゲーム(西部劇に出てくる酒場を想像する)と行き場のない荒くれ者達の人生をオーバーラップさせた展開で歌われる。ハイ、ローはポーカーの遊び方。フルハウスなどの特殊な並び方を競うのはハイ、低い数字のカードだけ集めるのがロー。配り始める前に宣言してそれぞれのグループで競う。
 これを読んでくれた恩師の指摘でそうか!と思ったのは、ダイヤのクイーンに主人公は拘り、いつも欲しがっているが、手に入らない。歌い手は彼が本当に必要なのはハートのクイーンだと歌う。ハートは平和で愛情深い人生を象徴するならば、この男は「ダイヤ」:一攫千金で荒れた心を満たす人生を欲するということだ。

 「テーブルの上には良い手が来ているが君は最高の手(つまり彼にとってのダイヤのクイーン)を欲しがっている」、「冬には足が凍えるだろう」と、この男が孤独で現状に満足していない状況を表現している。それでも最後に希望を持てよという節で終わるので、この歌がシングルでも愛好される結果になったようだ。実際の強盗団は全員射殺された。

 Eaglesの特徴である、①同じメロディの節でも歌い方が全く違う、②一節の始まりに早い語句が入ったり入らなかったり、と、覚えるのに苦労する曲でもある。音楽を志すが歌い方、作曲など習ったことがない自然発生的なロックのバンドで、作詩能力的にも音楽表現的にもここまで到達したバンドは数少ない。

 Your prison is walking through や You been out ridin' fences は開拓時代に使われた言い回しらしい。

 メロディと詩の構成は山場が3つあると思う。1つ目は静かな導入部の次でポーカーでダイヤとハートの女王を歌う部分。最初に唐突な高音部から入る。
 2つ目は導入部と同じメロディーに戻るが、「君はもう若くないんだぞ」とならず者の後戻りが出来ない後悔を誘い、3つ目はまた1つ目の絶叫のメロディーになり「冬には足が凍えないか?」と激しく孤独を歌う。

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原詩(上)と意訳(下)

Desperado, why don't you come to your senses?+
 ならずものの君よ。どうしてまともになれない?
You been out ridin' fences for so long now
 君は牧場のフェンスの見回りの仕事(牧童)をずっとやっているね
Oh, you're a hard one
 ああ、君は難しいやつだ。
I know that you got your reasons
 それには理由があることを僕は知っている。
These things that are pleasin' you
 君を喜ばせるようなものは
Can hurt you somehow
 逆に君を傷つけるということを

Don't you draw the queen of diamonds, boy
 ダイヤのクイーンを引きたいのかい?やれやれ
She'll beat you if she's able
 そいつは君のためにならない
You know the queen of heats is always your best bet+
 知ってるだろう?君にとってはハートのクイーンが一番いい手だと
Now it seems to me, some fine things
 あれ?僕(傍観者)には良い手が
Have been laid upon your table+
 テーブルに配られているように見えるが
But you only want the ones you can't get
 君は絶対手に入らないような手をやりたいんだ

Desperado, oh, you ain't gettin' no youger
 ならず者の君よ、ああ、君はもう若くないんだぞ
Your pain and your hunger, they're drivin' you home
 君の痛みと渇きが故郷に帰れと促すが
And freedom, oh freedom well, that's just some people talkin'+
 自由!ああ、自由が良いって?さあ、それは誰かが言ったたわ言さ
Your prison is walking through this world all alone
 君にとってはこの世界は牢獄と同じなんだ

Don't your feet get cold in the winter-time?
 冬には足が凍えないか?
The sky won't snow and the sun won't shine
 空は曇っていて雪も降らないし日も射さない
It's hard to tell the night-time from the day
 生きていても君には夜と昼間の区別も出来ない

You're loosin' all your highs and lows+
 君はこれからも人生のハイ・ローゲームに負け通しだろう
Ain't it funny how the feeling goes .. away?
 妙な気持ちだろう?全ての感覚がなくなっていくってのは

Desperado, why don't you come to your senses?+
 ならず者よ。正気になれよ
Come down from your fences, open the gate
 牧場のフェンスから降りてきて心のゲートを開けたらどうだ?
 It may be rainin', but there's a rainbow above you
雨が降るかも知れないが、でも虹がその後出るだろう
 You better let somebody love you, (let somebody love you)
 誰かを好きになれよ
You better let somebody love you, before it's too late
 誰かを好きになれよ。手遅れにならない前に。

注)英語の歌詞の部分部分に付けた+は、その後の歌の出だしが拍子の直前に始まるという私のカラオケ用の印。
例:Now it seems to me, some fine things は
 Now it | Seems to me, some fine things
のように Now it を4拍子のスタートの前にすばやく歌う。4拍子の頭は Seem to のSeem のSがかなり強く発音される。英語の歌は拍子の始まりの子音を強く発音すると英語の歌らしく日本人でも歌える。

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