シン・ウラシマ物語?
原作『箱入娘面屋人魚(1791年)』
-江戸後期の作家 山東京伝-
これは人間達の繁華街が水没して、竜宮城の支配下におかれた頃のお話でございます。
竜宮城の人気者、浦島太郎は妻の乙姫の眼を盗み、卑猥なパーティを日毎夜毎、騒ぎ散らかしていたのでした。
そんなある日、浦島太郎はインフルエンサー鯉との不倫を週刊誌に抜かれ、さらには鯉を妊娠させてしまいます。
竜宮城の圧力でなんとか週刊誌の火消しには成功したものの、鯉は出産を譲らず、産まれたのは「頭は人間、体は魚」の人魚の赤ん坊でした。
この件、乙姫の父親、反社との繋がりも噂される龍王にバレたらやばいので、浦島太郎は「育てて見世物小屋に売れば高そうだけどなー」と悔やみながらも「うーっしゃ」と人魚の赤ん坊をこっそり海に捨ててしまったのでした。
ー場所は変わり神田の八丁堀。
漁師の平次がボヤッと漁をしていると、漁船に人魚が突然飛び込んできました。
「私は人魚です。決して怪しくはありません。結婚してください。今夜抱いてください。」
生臭い魚っぽい感じはあったものの、べっぴんさんだったんで、妻にしようと家に連れて帰ったが、何を食べさせていいか分からない。
とりあえずボウフラを食べさせようとしたら、
「おい、テメェ人魚と金魚を間違えてねか?」とブチギレられました。
「なんか甘いのない?鯉は食通なのご存知ない?」
「申し訳ねぇ、稼ぎが少ねえもんで、家さ何もねぇんだ」
「ふーん、じゃワシが稼いできてやる」
と言って人間界で源氏名「魚人(うおんど)」として遊女デビューした人魚。
足元のヒレは股引きを履いてごまかしましたが、初めての客は魚人のあまりの生臭さに逃げて、初日で遊女をクビになってしまいます。
次に人魚を舐めると寿命が延びる「人魚舐め屋」を始めると、ひと舐め10万の高額料金にも関わらず大行列の大盛況。
平次は人魚のおかげで金持ちになりましたが、暇さえあれば「もっと下の方もペロペロしてぇな」と人魚を舐めていたので、気がついたら「もっとおっぱいが飲みたいでちゅ」と、子供になってしまいました。
困った平次夫婦の前に現れたのが、浦島太郎と鯉。得意の玉手箱をあけると平次は程よい若さに戻り、人魚は脱皮して綺麗な人間の女になりました。
その後、夫婦は世にも珍しい人魚の抜け殻を売ってまたまた大儲け、二人は幸せに暮らしました。めでたしめでたし。
斜め上からの江戸娯楽噺。
天晴レ、にっぽん!