癌の告知を受けた日のこと

生検結果前日のこと

乳腺クリニック予約前日のこと。
夜、息子達が自分達の部屋に戻った後、自然と夫と今後についての話をしました。

『明日、結果がわかったらLINEして』と夫。
『わかったLINEする。』とツヤ子。
ツヤ子はいつもLINEするのを忘れがちなので夫はそれを心配したのでしょう。

『大丈夫な感じなんでしょ?』と夫。
『いや〜、ダメな気がしてる…。』とツヤ子。
この時、前回の記事でも書いたけど、色々な情報が自分に癌を告げるフラグに見えていたので、すっかり『自分は癌だ』と思っていた。

『どのくらいの確率?』と夫。
『7割位の確率』とツヤ子。
恐らく、ツヤ子は無意識のうちに本当に癌だった時、ショックに耐えられるようにあえて悪い方に考えるようにしていたのだと思う。

『何で?』と夫。
あまりにツヤ子がハッキリ言うので、夫は落ち着かない。
『しこりが痛いんだ。最近…。』とツヤ子。
(あ〜、そうかぁ。それならダメかもな)と、渋い顔の夫。

『わかった。とにかく何かあればLINEして』と夫。
『わかった。』とツヤ子。
息子達に気づかれないように、最低限の確認の会話でその日は終わりました。

生検結果を聞きに乳腺クリニックへ

受付を済ませると診察室へ案内されました。
 A先生が気さくな面持ちで
『榊原さんこんにちは。今日は前回の生検結果ということで』と言って早速説明が始まった。

『やっぱり乳がんでした。これからの治療のことがイメージしやすいように説明しますね。』と言って、病状の説明書きを見せてくれました。

腫瘍の場所や大きさ、初期よりやや大きめの腫瘍ということ。浸潤性乳がんでやや進行速度が速めということ…おそらく3年くらいかけて腫瘍は大きくなっている…などなど。とても丁寧に説明してくれました。

(すぐに致命的なことが起きるようではなさそうだ。)ツヤ子は思いました。

サクサク話が進む

『治療してくれる大きな病院を紹介しますね。』とA先生。
地元の大学病院か国立系の総合病院が候補に上がりました。
(通院を考えると交通の便がいい国立系の病院だなぁ。)とツヤ子は思いました。
『先生、私、運転免許を持っていないので電車で通院しやすそうな国立病院にします。』と言いました。

『それなら国立の方がいいですね。初診の予約もしちゃいましょう。』とA先生。
パソコンを慣れた手つきで操作すると国立病院の予約画面を見せてくれました。
『◯日の月曜日と▲日の火曜日の予約が取れそうですよ』とA先生。
 (わー、なんて便利なんだ…。自分で電話予約すると思ってた…。月曜日より火曜日の方が仕事が休みやすいな。)
『じゃあ、火曜日で』とツヤ子。
『わかりました。』とA先生。パソコンをカチカチ操作します。

まだまだ話は進みます

『国立病院の初診まで時間があるので、PET検査を検診専門病院で受けることもできますよ。』とA先生。
『え〜、そんなことできるんですか?』とツヤ子。

『ウチと連携している専門病院があるので、そこで検査して、その結果を国立病院へ送ってもらうという方法もあります。もちろん国立病院でもPETを受けられますけどね。』とA先生。

(これは乗っかって話を進めた方が良さそうだ。)とツヤ子は思いました。

『先にPET受けちゃいます。』とツヤ子。

『土日もやってる病院なので、お仕事休まなくても大丈夫ですよ。予約取っちゃいましょう。』とA先生。

『えー、そうなんですか、便利ですねぇ』とツヤ子感心。

『転移が無いのを確認する気持ちで検査を受けられるといいですよ』とA先生が言ってくれました。

先生の予想だと転移の可能性は低いとのこと。
先生の優しい言葉がしみます…。

『絶対ではないですけどね』とA先生。
『そうですよね〜』とツヤ子。

(そう、医療に100%は無い。)

そんな会話をA先生と繰り返すうちに自分のやるべきことが薄らぼんやりわかってきた気がしました。

『先生、ギリギリセーフって感じですかね?』とツヤ子が言うと、

A先生は笑顔で
『ギリギリセーフだと思いますよ』と言ってくれました。

『国立病院での治療が落ち着いたら、またコチラのクリニックに戻ってくる感じですよね。』とツヤ子。

『そうです。そんな感じになると思います。』とA先生。

『ありがとう御座います。その時はまたよろしくお願いします。治療頑張ってきます。』とツヤ子。

『はい、頑張ってきてください。』とA先生。

癌の告知でしたが、笑顔で診察を出ることが出来ました。

受付で紹介状を受け取り、お会計をしてクリニックを出ました。

複雑な気分が溢れます

帰り道、色々な感情が混じり合って溢れるようでした。

乳がんですが、おそらく治療をすれば快方に向かうでしょう。
癌ですが、ラッキーなタイミングで見つかった感じがします。
そこはホッとしました。

けれど、癌は再発があります。

仕事を休み、収入が減るのも心配です。

息子達は中学生と高校生。
お金がかかる時期です。

(うーん、何か疲れたなぁ…。)
希望があるのはわかってましたが、何とも言えない疲労感に襲われました。

(おっと、夫にLINEしないと…。)
疲労感に押し流されて夫にLINEするのを忘れそうになってしまいました。

やっぱり乳がんでした。
国立病院紹介してもらったよ!
予約もしてもらえてました!
渡りに船で、治療がんばります!

と、暗くならないようにLINEしてみました。

(夫もショックだろうなぁ…。)

色々な感情が渦巻く中、トボトボ家に帰りました。




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