赤ちゃんを抱っこすることが大切な理由
前回の記事『「発達障害」ではないけれど落ち着かない子ども達』で子ども達の心の健康状態が良好ではないと感じたツヤ子。
それは
「発達障害」でもなく、
「発達障害もどき」でもなく、
「赤ちゃん返り」でもなく、
「その他」があることに気づきました。
『その他』について調べていると、以下の本に出会いました。
『子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か』森口佑介著 2021.6.29 PHP新書
森口佑介先生は発達心理学者です。専門は発達心理学、発達認知神経科学が専門で、大阪府の家庭支援事業にも携われています。
今まで発達障害について調べることが多く、小児科医の本が参考になることが多かったツヤ子。
本著は『発達心理学』という新しい視点で子どもの発達を見ることが学べました。
自分や他者と折り合いをつける力
森口先生は子どもにこの力をつけることが大切だと記しています。
自分のために努力すること
他者を思いやる気持ち
感情をコントロールする
この3つの力を身につけることが子どもが社会で生きていきやすいのではないか、とのこと。
大切なのはアタッチメント
そして本著ではこれらの力を身につけるにはアタッチメントが重要と記されています。
アタッチメントとは
赤ちゃんに抱っこが大切な理由
赤ちゃんが他者(主に養育者)との間に築く情愛的な絆のこと。
赤ちゃんが怖い目にあったり、痛い目にあったりした時、養育者などの大人に抱きしめられると、赤ちゃんは安心感を得ることができます。
乳児期は特に物理的な接触(くっつくこと、抱っこ)が大事で、これによって安心感を得ていくとのこと。
養育者の反応がポイント
自分(赤ちゃん)が泣いても養育者が反応してくれない場合、赤ちゃんは養育者と距離をとります。すぐに抱っこしてくれる場合は養育者と近い距離をとりはじめるそうです。
このようなアタッチメントによる個人差は1歳頃になると表れるそうです。
親から他者へと広がる信頼
養育者から敏感な反応してもらえた(泣くとすぐにお世話をしてもらえる)赤ちゃんは養育者を信頼します。
そして、赤ちゃんはその信頼をもとに他者を信頼し始めます。
『自分は他者に愛される存在だ』
『他者は自分に優しくしてくれる存在だ』
と考えるようになり、それが更に発達すると
『自分のために頑張ろう!』(自分のために努力する)
『他者に優しくしよう!』(他者を思いやる気持ち)
になるそうです。
もし、アタッチメントが形成できず、成長したら?
自分のために努力できない→やる気がない、すぐに諦める
他者に思いやりがない→他者の嫌がることをする、場の空気が読めない
感情のコントロールができない(養育者から安心感を得られないため)→すぐに泣く、怒る、黙る
このような特徴を持つ子どもに育つ可能性があると思われます。
アタッチメント形成できる育児環境か?
今、子育てに関わっている大人はこの視点が大切なのではないかとツヤ子は思います。
社会的に共働きの長時間労働が求められている現代。
低年齢の長時間保育は避けて通れないところ…。
親は短時間で子どもとスキンシップし、
アタッチメントを形成し、
また仕事に行く、
という大忙しな毎日をしなくてはなりません。
そして保育園側はアタッチメント形成という視点で見ると、かなり脆弱な環境だということに気づかされます。
0歳児クラスは子ども3人に対して保育士1人
1歳児クラスは子ども4人に対して保育士1人
幼児クラスでは子ども20人に対して保育士1〜2人…(保育園によって違うと思いますが)
と、子どもが泣いたり、痛い目にあったとき、抱きしめる大人が圧倒的に足りないと思うのです。
保育士さんに優しい気持ちがあったとしても、応えてあげられない、
それが今の保育現場だとツヤ子は思うのです。
『子どもの落ち着きのなさ』はアタッチメント形成に課題があるから?
『発達障害』ではないけど落ち着きがない子ども達。その原因は『アタッチメント形成』に課題があるのでは、とツヤ子は思いました。
親御さんも保育士さんも『子どもを思う気持ち』はあっても、現実の育児環境は『アタッチメント形成』が難しい…?
その環境要因が、『子どもの心の健康に影響する可能性』を気づけている大人がどれだけいるのか…?
子どもはただ生き抜くために『アタッチメント』を求めているにも関わらず、それを与えることができない育児環境…。
大人が無自覚に子どもを追い詰めていないか…?
にも関わらず、『落ち着きがない!』と、大人に怒られる子ども達を見ると、ツヤ子はとても寂しい気持ちになるのです…。
世の中は簡単には変わりません
残念なことに今すぐに保育現場に保育士さんを増やすことは出来ません。
親御さんだって仕事を簡単に減らしたり、辞めたりできません。(生活かかってますからね…。)
でも、子どもは日々成長していきます。
アタッチメント形成という視点で、今の育児環境を見ると、困難なことが多い可能性があります。
そのような育児環境で、いかに子どもの心の健康を維持していくか、そんな視点が大人には必要とされているのではないでしょうか…。
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