艱難辛苦
ソーセージ工房での修業も実を結ばず、独学で自宅の台所で作り始め、安全でなかなか美味しい腸詰めソーセージが出来るようになったが、売るほどは作れず収入には結びつかなかった。
その頃の夫の収入はあまり多くはない年金だけ。
男が収入がないのは辛い、と言ってた。
「年金を頂いているわ」と宥めても、働いて外からお金を持って帰れないのが辛い、正しく“男はつらいよ”
その頃、ふとした事で私の年収が高額である事を知り、ますます落ち込んで行った。
その時その時に働ける方が働いて一家の生活を支えればいい事で、私も子ども達が幼い頃はのんびりさせて貰ったし、今は私が働けばいい事だと話しても受け入れられず、苦しんでいた。
そのうち心のバランスを崩し、鬱と診断され1ヶ月ほど投薬治療を受けた。
髭・サングラス・帽子と芸術家を名乗る人達にとっての3点セットが大嫌いで、あくまで普通のおじさんスタイルを貫いた夫。
もっと芸術家さんらしく家庭等顧みず生きてみればよかったのに。