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【27】 神聖かま

とても意外だったのが、神聖かまってちゃんも聴いてくれていたこと。「フロントメモリー」のライブ映像と「きっと良くなるさ」のMVを見てくれていた。

ファーストお付き合い後の別れている期間に見たらしかった。ずっとネガティブを爆発させていたという印象だった神聖かまってちゃんが、これらの曲で見方が変わったそう。
この頃の私はしばらくかまってちゃん離れしていて追えておらず、薦めてもらって初めてその2つの映像を見たが、確かに以前のような凶器めいた鋭さは感じず、大人っぽさを感じた。

「全員殺す!」くらいの勢いで駄々をこねる子供のような、無差別に貫く棘はなく、一応社会でやっていくだけの仮面だけは備えたが根本の生き辛さは残ってるように思えた。
元はその破天荒っぷりで好きになっただけに、「初期の衝動は死んだ」と思って面食らったが、でも結果的にかまってちゃんはうまくやっているようで、今も変わらず好きだ。

お金や事務所が絡む社会で少しずつ形を変え応用しながら、商用音楽に偏りながらも、初期からのスタンスも崩さず両立させていて、素直に器用でかっこいいなと思う。
普通難しいよね、「死ね」とか「死にたい」とか「自殺」とかのテーマでもって日本のメジャーなポップシーンでやっていくの。きちんとメディアとライブを別物とわけてアイデンティティを確立していて、インディーズ時代からメンバーを見ていた私にとっては、メンヘラがかっこいい大人になる現場を見れて、同じ時代に生きられたことが嬉しかった。のちに何度もライブへ行くことになる。


その他によく見たのが、アニメの「ハンターメハンター」だ。仕事帰りにNさん宅へ行き、とりあえずブリって、夕食をごちそうになって、ハンターハンターを2話見る、というのがルーティーンとなった。
キャラの名前を少しは知っている程度だったので初見、めちゃめちゃに面白くってドハマりした。ブリっているから更に拍車がかかって、キメラアント編ではもう嗚咽が出るほど泣いた。こんなに緻密に練られたストーリーがどうやって思いつくのか、「冨樫は天才」と言われる理由がよく分かったし、一話一話の密度がすごくって、見ごたえがありながら一瞬で終わってしまうのだった。ヒリカを見てケラケラ笑うNさんは楽しそうだった。今でもあのオープニング曲を聴くと、Nさん宅のソファとマリファナの匂いを思い出す。

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