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【26】 薦めたり

他にも思い出せないくらいのたくさんの作品を知れた。知識豊富なNさんだったけれど、それでも私の好みからNさんに影響を与えられることもあった。自分の好きなものを、好きな人に好きになってもらえるのはすごく嬉しかったし、認められたような気分だった。

例えば平沢進の「パレード」「白虎野の娘」
映画好きのNさんはもちろん「パプリカ」から平沢進も知っていたが、「庭師KING」のライブ映像で衝撃を受けていた。(初見はびっくりするよね、あのレーザーハープ)

その流れからP-MODEL「SPEED TUBE」ライブ映像(ことぶきの "逆キーボード" 垂直に立てたキーボードに背をむけ逆手で弾く変態ワザ)がかっこよすぎる。平沢進の歌が上手すぎる。1992年で既にあのセンスが生まれていたのかと、時代がおいつかないとはこのこと)

SIRUPの「Do well」はノリやゴキゲン具合が、Nulbarich「NEWERA」は落ち付いたチルさを気に入ってもらえた。

カネコアヤノは「恋しい日々」を聴いてもらったが、しばらくして「さよーならあなた」で逆輸入された。表情のころころ変わる愛嬌のあるルックスでずいぶん気に入ったようだった。


なかでも一番印象に強く残るのが、くるりの存在だった。私は学生の頃からずっと好きで、Nさんももちろん知っていたし聴いたこともあったそうだが(元カノが好きだったそう)それまで刺さることがなかったと。
私の影響で彼も大ファンになってくれたのがくるりだったというのが、とても嬉しかった。暇さえあればくるりの曲が流れるようになったし、岸田繋が手がけた交響曲の、京都交響楽団とのオーケストラコンサートも見に行った。もちろん鑑賞前には草をつめた一服をして。(休憩中の喫煙所で目の前に佐藤征史がいたことは忘れられない。)

ランチ、三日月、春風、HOW TO GOなど、比較的ローテンポで落ち付いた曲が好きだった私に対し、Nさんは逆で、花の水鉄砲、お祭りわっしょい、つらいことばかり、温泉、しゃぼんがぼんぼん、かんがえがあるカンガルーなど、可愛いくてごきげんな曲やマイナーコードのダークでクールなロックナンバーが好きだった。

女性ボーカルが入る曲たち「シャツを洗えば」や「琥珀色の街、上海蟹の朝」は、カラオケへ行くたび毎回歌った。

Nさんは上海蟹が特に一番好きで、PVに出てくるウイスット・ポンニミットの描くキャラ「マムアン」はLINEのアイコンにしていた。

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