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【22】 はししし

こんな堕落したクズな生活を続けていたある日、夜中に知らない電話番号からの着信があった。通話ボタンを押して無言で待っていると、むこうから聞き慣れた声、癖のある高めの声、すぐにNさんだと分かった。嬉しかった。
あちらから電話をかけてきてくれるということは、私への負の感情は一段落したのだろうか、とにかくイヤな雰囲気は全くなく、ただただ楽しく雑談した。

「煙草が切れたのでコンビニへ行く」と言って一旦切ろうとしたが、「俺も行くから待ってて」とのこと。ローソンの前で待っていると、以前と変わらない見なれた顔の車がやってきて(Nさんの車はちょっとしかめたような顔をしている)ドキドキしながら乗りこんだ。
以前と比べて少し年は取っていたけれど、それでもまだ若く見える彼と、懐かしい柔軟剤の匂いで、一気に気持ちがワープした。クールに無表情で余裕を見せたつもりだったが、内心は嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
その夜は短時間のドライブをしながら、近況報告を交えた雑談をするだけで終わり、次の日、仕事の後にまた会うことを約束して別れた。

そこからNさんとのセカンドお付き合いがはじまり、大きな転機、25才の私が大麻と出会う。


( ※ すべてフィクションです。 )


別れている間にご両親は亡くなられ、Nさんは実家で一人暮らしをしていたので、セカンドお付き合いの舞台は主にNさんの家だった。

そして大麻カミングアウトが始まる。OD界隈でも大麻に関してはいいウワサしか聞かなかったので、イヤな気はしなかったが、ファーストお付き合いの頃から隠れて吸っていたこともあったらしい。決定的な変化がなかったので全く気付かなかった。(Nさんの入院の原因は大麻ではなく、他のもっとタチの悪いやつ)

セカンドお付き合いが始まってしばらく、一緒に仲良く過ごしていて、以前に比べてだいぶ私の性格が良くなっていると判断したらしい。たしかにその頃にはもう、ODで救急搬送されることもなくなったし(倒れないギリギリのキャパを覚えただけ)自傷行為もほとんどなくなっていた。
昔より精神的に大人になった、今の私なら大丈夫だと確信してから、満を持して乾燥大麻が登場した。「ブロンよりずっと良いものがある」と言って木箱から出てきた、その本物の姿を初めて見た。

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