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【30】 仕事事情

一方でその頃の私のお仕事事情

職場は楽器店に変わり、スーツを着て電車で通勤する日々。一階がピアノやLM商品、スタジオのある店舗、二階がヤマハ音楽教室、三階がその会社の本社事務所となっており、私は二階の音楽教室、通称「オンキョウ」の課に配属された。最初はアルバイトだったが、社員と同じ業務をこなす「ヤマハの受付のお姉さん」となったのだった。

元々ヤマハっ子だった私はその楽器店で習っていたし、コンクールで活躍することもあって、当時から勤めている社員や講師は私のことを覚えていてくれた。その上司からは馴染みのある、下の名前+ちゃん付けで呼ばれ、可愛いがってもらえた。

本社のくっついたこの「本店」は上司も講師も良い人ばかりだったが、他の支店は悪い噂しか聞かなかったので、ラッキーだと思った。恐らく、二階に社長室があったから皆大人しくしていただけで、嫌味っぽく人を見下すような話し方をする社長がいつ出てくるか分からない環境なら、まぁ当然の結果なのだった。
そしてここが、後に旦那となるTと出会った場所となる。

一人前のブロンユーザーからランクアップし(質的にはランクダウンだが)その頃は金パブを常飲していた。
味は不味いし飲みにくく、不純物も多く含まれていて吐きやすかったが、金パブはブロンに比べ安く、大容量の210錠瓶だった。
最寄り駅構内の薬局は通勤時にはもう開いていたし、会社の目の前にもチェーンのドラッグストアがあり、そこは夜遅くまで開いていたので、しょうちゅうお世話になった。ブロンと違い規制もなかったが、きっと店員さんからは「金パブの人」と思われていただろう。

効果はブロンと大差なく、身体的な気持ち良さは劣るが、覚醒具合でいえば同等の手ごたえだった。つまり仕事が捗って仕方なかった。


主な仕事内容は、新入会の手続き、親規の生徒募集として、体験レッスンの設定、ポスティングやハンディング、その為のチラシ作り。
既に通ってくれている生徒管理として、月謝や教材費などの現金管理、時間枠の調整、楽器の販促や営業トーク、退会などに関する悩み相談から、うまくいかなければ退会手続きへ。
事務的なことでいえば。生徒募集のノルマを支店ごとに設定し、月ごとの目標と、それに対する実績報告を発表する会議があったり。

毎年行われる、ホールを貸りての発表会やコンクールの出演者の管理、プログラムの校正、イベント当日のアナウンスや送り出し等の、イベントスタッフの業務などもある。
ハロウィンやクリスマスでは「小コンサート」という発表会も企画する。他支店を含まず、本店の希望する生徒だけの少人数で行なうもので、場所もホールではなく本店の一番大きい教室を開放する。「コンクール本番前の舞台ならし」として頑張る生徒から、「大きいホールは嫌だけど人前で弾いてみようかな」といったエンジョイ勢まで、子供から大人まで参加するアットホームなイベントだ。

初めての職種に戸惑ったが、人間関係の良さと、常に音楽に触れられる環境から、楽しく仕事ができた。

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