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【18】 年上彼氏

話は閉鎖病棟、退院時に戻る。

Nさんとは付き合いたかったが、また会ってあの顔を近くで見られるなら、あの声をまた生で聞けるなら、まぁ友達のままで良いかとも思った。退院してすぐ連絡し、再会の日程を決める。

Nさんがショートヘアの女性が好きと言っていたのを思い出し、すぐに髪を切った。人生で初めての、そしておそらく最後のショートヘア(びっくりするほど似合わなかった)恥ずかしかったけれど、切ってしまったものはどうしようもないので、その姿で会いに行く。
待ち合わせ場所にいたNさんも、見た目がすっかり変わっていた。茶髪のふわふわパーマは黒く短くなっており。黒ぶちメガネは外されコンタントになっていた。とても残念だった!

しかし好きな気持ちはそんな程度では変わらない。夜の待ち合わせだったので、再会してから車で夜景を見に行くことになった。
車に乗せてもらうと、私の承諾を得てからNさんは煙草を吸った。父がヘビースモーカーだったのもあり煙草の匂いには慣れていて、不快どころか逆に懐かしく、穏やかな気持ちになった。それ以上に、大人の男性と車で二人っきり、というシチュエーションにいる自分に酔った。このままセックスするのかななんて考えながら、Nさんのジッポとセブンスターをよく目に焼きつけた。(当時はセブンスターのパケがすごく可愛いかった。小さめの「SEVENSTAR」の文字が控えめにあって、緑色で、星が7つ並んでるあのデザイン、すごく好きだった)

近くの夜景が見れる山へ向かいながら、入院時の思い出話に花を咲かせた。Nさんの話し方は当時と変わらず面白く、緊張や気まずさなど全く感じないままに、出会った頃のリズムをすぐに思い出した。いやらしくない程度の笑える下ネタトークも盛りあがりつつ、山道をのぼる。車内ではBlanky Jet CityのSaturday Nightのライブ音源が流れていた。

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