ロムルスのおかげでエイリアン:コヴェナントが許せるようになった話
エイリアン:コヴェナントを最初に観たときは旧シリーズが侮辱されたようで嫌だった。(映画として面白かったしめちゃくちゃ楽しんだが)
でもロムルスを観てその気持ちが少し収まった。
エイリアンの最大の魅力をコヴェナントが台無しにした
エイリアンは1,2作目でちょっとずつその姿と生態を表していき、そのリアルな特殊効果も相まって確かにそこにいる存在として感じられた。しかしどう考えても成長が早すぎるし、口が小さすぎるし、卵とフェイスハガーを経由するのは非効率的すぎる。我々は広大な宇宙の中で地球というたった一つの星しか知らない。地球という一つのサンプルから考えた生物学や進化論が宇宙で通用するはずがないのである。そいうことを心に直に伝えてくれたのが映画エイリアンシリーズだった。人知の遠く及ばないミステリアスさこそがエイリアンの魅力だった。
ところが、このコヴェナントという映画は、エイリアンの生態やデザインはデヴィッドが彼のセンスで改良して作ったものだとしてしまった。さながら芸術作品みたいなノリで作ってやがる。好きな詩の作者すら間違えるくせに・・・
そんなわけで私はコヴェナントに悪印象を抱いていたのだがロムルスが上手く補完してくれて印象が変わった。
ロムルスの新設定で想像の幅が広がる
ロムルスの最も偉大な新設定。それはゼノモーフから例の黒いドロドロを生成できるというものだ。
捕獲したゼノモーフが目覚めてロムルスラボを壊すまでの期間がそんなに長いとは考えづらい。ただのクローン(フェイスハガー)ならともかく、何世代も先祖返りした謎微生物(?)を作れるとは考えづらい。ということは、逆の可能性もあるのではないか?先にゼノモーフがいて、それをエンジニアが捕縛し体液を精製したら簡単に作れちゃったのが、あの黒いドロドロだった。そういう可能性もあるのでは?
黒いドロドロ→プロトモーフ→ゼノモーフ
ではなく
ゼノモーフ→黒いドロドロ→プロトモーフ
だったのでは?卵より鶏が先だったのでは!?
まだデヴィッドがゼノモーフを創造したとは確定していない
当時は気づかなかったが、そもそもプロトモーフがデヴィッドの目指した姿だったのか怪しいのである。コヴェナントの終盤の場面、彼はプロトモーフが元気に走り回る姿を見てもそんなに嬉しそうではなかったしインナーマウスにびっくりして反射的に身を引いている。
完全生物を目指して改良を重ねた結果、黒いドロドロの原初のDNA的なものが目覚めた結果が、あのプロトモーフの姿なのではないか。でかい卵もフェイスハガーも、ダニエルズが見つけたイラストにはなかった(あのイラストが完全生物デザイン案とは限らないが)。デヴィッドの目指す姿とはまだまだ隔たりがあるのでは?
そもそもデヴィッドはその言動から人類は滅んだほうがいいと思っているようだし、エンジニアも平気で滅ぼした。そんな彼の構想する完全生物が、他の文明生物に取りつかないと広がれないような生き物のはずがないではないか。
そんなわけで、設定一つで嫌いだった映画の見方を変えてくれたロムルスはやっぱり偉大だったね。いずれ作られるであろう次回作も楽しみだ。
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