子どもの成長に必要なのは『成功よりも失敗』
子どもにとって「失敗」が大切な理由
子どもが成長する上で、成功体験と同じくらい「失敗すること」が重要だと私は感じます。なぜなら、失敗ができるということは、子どもが新しいことにチャレンジしているからこそ起こりうることです。成功体験ももちろん大切で、達成感や自信につながります。しかし、成功体験だけで成長していくことは難しいでしょう。むしろ、失敗から学ぶことで得られるものがたくさんあるのです。
例えば、子どもが何かの習い事に取り組んでいるとき、親としてつい「何ができるようになったの?」と、成果を尋ねてしまうかもしれません。成功体験を聞くことは、子どもにとっても自信の源になるかもしれませんが、それ以上に「何ができなかった?」と失敗体験を聞くことの方が、子どもが挑戦しやすい環境をつくるのではないでしょうか。なぜなら、「できること」や「成果」を求められると、子どもは「成功しなければ話せない」「失敗したら怒られる」と考えてしまう可能性があるからです。これが積み重なると、挑戦することを避けたり、萎縮してしまったりする原因になりかねません。
一方で、「できなかったこと」や「失敗したこと」にフォーカスを当てて話を聞いてあげると、「こういうことに挑戦してみたけど、うまくいかなかったんだ」と素直に話しやすくなり、挑戦することへの後押しになります。失敗を話しても責められず、むしろ「頑張ったね」「新しいことに挑戦したんだね」と受け入れられることで、失敗を恐れず新しいことに挑戦できるようになるのです。私はこのように、失敗を主体とした会話が、子どもの成長を促す大きな要素になると感じています。
もちろん、成功と失敗の両方が大切であり、どちらかが絶対に正しいというわけではありません。ただ、子どもが親に「成功」だけを褒められる環境が続くと、「失敗」を話すことに抵抗を感じるようになるかもしれません。結果として、失敗しないようにと挑戦を避ける傾向が生まれてしまう可能性も考えられます。だからこそ、成功だけにこだわらず、失敗も成長の一環として受け入れてほしいと感じます。挑戦してみることが、子どもたちの未来や可能性を広げるためにはとても重要です。
失敗と成功はどちらも成長への「ステップ」
私は、バスケットボール選手のヤニス・アデトクンボのある言葉にとても感銘を受けました。あるインタビューで、「今シーズンは失敗だったと思いますか?」と記者に尋ねられた彼は、少し落胆した様子を見せつつも、冷静にこう答えました。
「君は昨シーズンも同じ質問をしたよね?君は毎日仕事で昇進するかい?しないよね?では、その一年は君にとっての失敗かい?違うよね?毎年違う目標に向かって努力しているはずだ。それは失敗ではなく、成功へのステップなんだ。」
彼はさらに続けます。
「マイケル・ジョーダンは15年間プレーをして、6回優勝した。でも残りの9年間は失敗だったのか?君が言っているのはそういうことだよ。それは間違った質問だ。スポーツに【失敗】はないんだ。成功する日もあれば、そうでない日もある。自分のターンの時もあれば、そうでない時もある。それがスポーツなんだ。」
このやりとりからもわかるように、ヤニスは「失敗」という概念を、成長や成功に必要なステップと捉えているのです。日々の努力が目に見える形で成功として表れることもあれば、目標に届かないこともあります。しかし、届かないことがすなわち「失敗」ではないのです。
私たちは、子どもたちにとっても同じように考えたいと思います。何かに向かって一生懸命に取り組み、その結果として「失敗」があったとしても、そこには必ず次へのヒントや、成功するための材料が含まれています。失敗することで学び、成長し、さらにチャレンジする力が養われるのです。
「失敗」を恐れずに挑戦を楽しむ環境を
子どもが挑戦を続けるためには、私たち大人が失敗に対してどう向き合うかが大切です。失敗したとしても、「どうやったら次はうまくいくかな?」と前向きに考える習慣がつけば、それは成功へとつながるプロセスに変わります。子どもたちが挑戦することを恐れず、むしろ楽しめるように、失敗も大切な経験として捉えることができる環境を整えてあげたいと思います。
ヤニス・アデトクンボの言葉のように、成功しない日があっても、それは次の成功に向けたステップだという視点を持てば、子どもたちも自信を失わず、積極的に挑戦できるようになります。子どもたちが、挑戦し続ける大切さを学び、成長していけるよう、私たちもその成長の一部として失敗を受け入れ、共に歩んでいきたいものです。
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