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ICC『現われる場 消滅する像』 MOT『音を視る 時を聴く』『こうふくのしま』『MOTコレクション』


MOTこと東京都現代美術館に行ってきました。
今までなんとなく清澄白河駅ルートを使ってたんですが、木場駅ルートもめちゃくちゃいいですね。お店とかをぶらぶら覗きたい場合は清澄白河、大きい公園で散歩中の犬たちと並走したい場合は木場がおすすめかもしれません。鳩ってあんなに派手な音で落ち葉鳴らしながら歩くんだな…

坂本龍一展『音を視る 時を聴く』

めちゃ混み!!!!!!

私が行ったのは休日の午前中で、当日券買うまでに10分、会場入るまでに10分(休日午後だとそれぞれ30分〜1時間待ちだったりするらしい)なので時間としては全然待ってないんですが、中入るととにかく人口密度がすごくて…!

だからあんまり作品の感想が言えないんですよね、ちゃんと見れてないので…
絵画作品だったら視界に入れないと見れないけど一瞬でも見れば一応全景を見れはするじゃないですか、音声作品だったら最後まで聞いてないと全部は聞けないけどその音が聞こえる空間内にいればどこでもいいじゃないですか、
映像作品だとその映像が見れる位置に最後までいないと全部見れないんですよね…!!!
それが、人混みと相性めちゃ悪くてぇ…!!!!

降水量データと連動して天井から水が降ってきて下の水たまりに落ちて音が鳴る『water state1』(人混みの中、足下に石が複数置かれているので注意です!!)とか、地震データと連動して東日本大震災の被災ピアノが鳴る『IS YOUR TIME』とか、ゆっくり見たかった…!

各部屋を繋ぐ通路がとにかく狭く、部屋へ入る人部屋から出る人のすれ違いも難しい箇所がありました。スタッフさんが交通誘導してましたが追いついてない、というか人がいすぎて指示が通らない感じでした。
受付から最初の部屋へのあの長い長い長い通路、あそこ絶対中腹に案内が必要だよ…!並べばいいのか追い越していいのか分からん…!
横長の1の部屋と2の部屋からの往復と3の部屋への流れ、3つの動線が混ざり合うあそこがいちばんカオスでしたね…いや7の部屋もすごかったな…あの部屋は本当にモナリザ(だっけ?)みたいに立ち止まらずに一列でゆっくり歩かせるしかないのではないか…?iPhoneとiPadの部屋、ちゃんと見たかったな…(『async-volume』)

8番目の部屋『LIFE-fluid, invisible, inaudible…』でようやくほっとした感じでしたね。

写真を撮る余裕が生まれる

でもこの部屋、突然真っ暗になるので暗所恐怖の人は気をつけてくださいねぇ!!!!!!!(暗所恐怖の人です)なので結局ここからもささっと出てしまったな…天井がめちゃ高いのが救いでしたが…

一階中庭でたまに流れ出す『センシング・ストリームズ2024-不可視、不可聴』を聞きながらパンを食べるのは楽しかったです。

地下二階中庭の『LIFE-WELL TOKYO』の霧はたしかに霧の量がすごくて何も見えなくなったりしましたが、あれ音も何か流れてたのかな…?金属っぽいキーンて音が(霧の噴出音じゃなくて)そうだったのかな?
単に視界がしっとりホワイトアウトして楽しいタイムをやってしまいましたね…
私が中庭(サンクンガーデン)に出たタイミングがちょうど霧の出ていない時でたぶん5分ほどその場で待ちました。上から見た丸い光はこの鏡か〜この下のやつから霧が出てくるのかな〜?スピーカーあるな〜とうろうろしながらスマホ片手に待つ姿、だいぶ滑稽だったろうな…なんかこう…動物園で「ヒト」って書いてある檻に入れるやつみたいな…これどっかの窓に「霧を待つ人(2024)」とか貼っつけてあって我々のうろうろする姿を楽しまれてるやつじゃない?と一瞬思ったりしました。

ちょっと一旦ここで場所飛びます!
音声系美術展繋がりでICCへ!

evala『現われる場 消滅する像』

坂本龍一展、「坂本龍一さん」を目的にするなら坂本龍一展に行く必要があると思うのですが、
坂本龍一展の写真や映像を見て「面白そう」と思った(坂本龍一さんが特に第一目的ではない)場合、この美術展結構ハマると思うんですよ。こっちはそんなに…混んでないので…!

おわすごい、サイトに全作品の詳細載ってるな!?

予約制の作品『大きな耳をもったキツネ』『Our Muse』は体験しておりません!!一人ずつ体験できる無響室、閉所恐怖には絶対無理だからです!!友達とかと5秒だけ入ってすぐ出たい、無響室…!

実は坂本龍一展より先にこっちのevala展に行っておりました。ここで初めて、普段我々が「目にしている」ビジュアルアートならぬ、耳で聞くサウンドアートという区分を知りました。
ICCにも坂本龍一展のチラシ置いてありましたね!領域が一緒だ!

いやまあこっちにもね、あったんですがね、かなり怖い部屋がね…6番目の部屋「Embryo」の、特に通路がね、めちゃ暗くてめちゃ狭くてですね…天井も低くて…(友達と一緒に行ってよかったね…)
そういえばevala展も、基本薄暗い展示室だけど最後の方に逆にホワイトアウトする展示があったな…7番目の部屋『Studies for』が白い布の壁がモヤモヤ揺れる部屋でした。あそこ布の内側も歩いてみたさありますね。

大部屋の『ebb tide』がやっぱり印象深いかな…靴を脱いで薄暗い部屋に入り、フェルトが敷いてあるような山に登って、モヤモヤしているモヤを眺めながら、流れてくる音声をぼーっと聞くという部屋でした。半分寝てました、気持ちよかった…
今一周したな、というとこでハッと我に返って部屋から出ましたが、たぶん1時間くらいいたのかな…?スマホも会話も禁止の部屋で、ゆらゆらするものを見ながらゆらゆらしてる音だったり雨の音だったり鳥の声だったりをただただ聞く、心地いい時間でした。

よく宣伝に使われてる『Sprout ‘fizz’』も面白かったなぁ。蓮みたいな(花じゃなくてレンコン的な方)小さいスピーカーがたくさんあって、コードもついてるから本当に根が生えた植物みたいで、こいつから音鳴ってんのかな?と思って近づくとあれこいつじゃないかな…ってうろうろするのが楽しかったです。
絵画から音が鳴る『Score of Presence』も綺麗だった。絵画に向き合うのもいいけど背中を向けてみるのもまた違った音色で楽しい。
あそこで「あー近づくとこいつの音がするなぁ」を楽しんだから、坂本龍一展のiPhoneとiPadのやつも楽しみたかったんですよぉ…!

サウンドアート、音楽ってわけじゃないのかぁというのが発見でした。メロディではない…、もやもや…と漂っている…
作品ごとにテーマはあるんだろうけど、音の続き方には意味がない(歌おうとしていない、感情がない、ストーリーを持たない)けども心地よく流れる音を聞くの、こっちもなにも考えずに頭が空く感じがありました。そんなにパンフレット読まずに見て回ったのも合ってたかも。普段の私は抽象的な音楽とか絵とかから勝手にストーリーを走らせるのが好きなはずなんですがね…!


またMOTに戻りましょう。

『MOTコレクション』

たしか無題だった気がするんですが、最後の方の「グリッドをめぐって」という部屋が面白かったですね。横長で空洞の大きな黒い箱のようなものが10個くらい、高い天井近くから床近くまで等間隔で並べられていた作品。作品のインパクトもありましたが、それ以上に近くにあった解説の「箱だけでなく間の空間も作品の一部かもしれないし、だとしたらその空間と接している天井や床、そこに立つ我々も作品かもね」的な文章が面白かった。

最後のお馴染みの数字が赤く光る部屋、解説に「今回は自然光を取り入れて開放的にしてみました!」みたいなことが書いてありました。たしかに以前はあった出口のカーテンがなくなってた!

そうそうコレクション展、入り口で「大きな字で書かれた解説」のクリアファイルが貸し出しされてて、これいいな〜と思いました。作品たちの間に「ごあいさつ」とか「4 昭和前期の作品」とかの文章が細かい字で書かれてるじゃないですか、あれの拡大版・手元における版みたいでした。あの前に人溜まっちゃうもんな…!

『こうふくのしま』

おもしろかった!!!

清水裕貴さんの『星の回廊』と臼井良平さんの作品群がめちゃ好みでした。

清水裕貴さんの『星の回廊』、架空の貝の一族の物語でした。パンフレットに収録されてなかった一番好きなフレーズが偶然写真に残せててよかった…!「私たちの物語をどこで知ったのだろうと思う。貝だから、喋れないのに。」
海の写真が展示され、天井のスピーカーからは朗読が流れていました。実は出口に原稿があったのですが気づかず夢中で一周聞きました。感情をあまり入れずに淡々と読んでいくのが、架空の伝承・歴史・物語としてすごく合ってたな…
朗読を聞きながら、「私の中ではまだ一周してないけど、めでたしめでたしもはじまりはじまりもないけど、たぶん今のところで終幕したな」と思った箇所があって、でのちほど原稿読んだら本当にそこで終わりだったのでなんか嬉しかったです。
なんやかんやで言語系の作品でいちばん楽しみますね、私はね!

StarMachineProjectさんの『定位』をなんとなく思い出したんですがたぶんスライドの音だな…でも美術館歩くのがより楽しくなったきっかけの一つは間違いなく『定位』だと思うので、なので美術館行くたびにうっすら無意識で思い出している可能性はあります。自由に歩いて見る演劇(私はネット配信で見ました)。




ミラーの間にも挟まってる

臼井良平さんの「PETシリーズ」「Forgotten Liquidシリーズ(という呼び方は適切ではない?)」、面白かったですね〜…!
道端にペットボトルが捨てられている光景を再現する(ただしペットボトルをガラスで作る)作品群らしい。
パンフレットには「無人称の風景を仮構する」とありました。
めちゃくちゃ大きい何かに被せてあるブルーシートの上にぽつんとガラスのペットボトル(たぶんファンタ)が置かれている作品を見たときはつい「荷が重いよ…!」と口から出そうになりました。

方向性が真逆なのかもしれませんが、このポールが倒れないように括り付けられてるペットボトルを見た瞬間「これは…!達成への途上ペットボトル…!!」がつい頭をよぎりました。だからかあんまりゴミ問題とかについては思考が行かなかったな…これで道端のペットボトルを「不似合いな物が不似合いな場所にあるな」と認識しやすくなるだろうなぁとは思った。

藤倉麻子さんの『達成への途上タイヤ』です。面白いのでぜひ…

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