くしゃみが可愛い女の子

に、高校生の頃ほんのり憧れていました。
少女漫画の擬音で「くしっ」って手書きの文字で表現されるような小さなくしゃみに憧れたものです。わかる？

毎日よくわからない日常に追われてまともにnoteにも触れず、気がつけば地獄のような夏がやっと終わりました。
終わったはずなのに地味にまだ湿気を感じます。
でも夕暮れはさすがに気持ちがいい。
千年前の秋もやっぱり気持ちよかったんだろうな。

さて、敏感に寒気を感じるようになると身体は素直なものでふとした瞬間に出るんですよね。

くしゃみが。

ちょっとお聞きしたいんですが、みなさん自分のくしゃみってどんなくしゃみですか？
私のくしゃみはそりゃもうザ・くしゃみって感じで

ぶえっっっっっくしょい！！
はぁーどっこい！！

ってくしゃみなんですけど、乙女心極まる思春期はそんな自分のくしゃみが嫌でした。

しかし一方でこのザ・くしゃみには一つメリットがあって、絶対に鼻水が出ないくしゃみなんです。
どういうこと？と思われるかと思うのですが、そして文章ではうまく説明できないのですが、
　くしゃみを喉で咳をするようにする
　(→つまり口を開けてする※手で押さえながら)
と、鼻から空気が漏れないので鼻水が出ないことに小学生のときに気付いたんです。

まぁその代わり音量を抑えられないので昭和の頑固親父みたいなくしゃみになるんですけどね。
子どもの頃は気にしてなかったんですけど、思春期になるとこの頑固親父スタイルが恥ずかしくなってきたんです。
でも他にくしゃみの仕方なんてよくわかんないので、教室では必死でハンカチに口をあててくしゃみしていました。

ところが高校2年生のとき、クラスメイトにいたんですよ。
漫画みたいなくしゃみする子が。「くしっ」て。
めちゃめちゃくしゃみ可愛いんですよ。
これぞ女子のくしゃみ！！って感じでくしっ！ってするんです。

初めて聞いたときに思わず

「は！？なんいまの！くしゃみ！？まじで！？
　え、真剣にやってそのくしゃみ！？
　くしゃみの風上にもおけんて！！
　どうやってすると！？」

と問い詰めました。
すると友人は、

「私中学のとき自分のくしゃみが大きいの嫌だったんだよね
　くしゃみ小さい子にコツ聞いて練習した」

と冷静に答えてくれました。
突然のくしゃみへのイチャモンを責めない寛大さと、くしゃみコンプレックスが自分だけではなかったという喜びと、くしゃみって練習するもんなの？という疑問を横に押しのけて可愛いくしゃみのやり方を教えてもらいました。

「あのね、くしゃみの前に息を吸わないの」

……え？

「…………え、無理じゃない？」
「無理じゃない。吸わないように我慢するんよ」
「えー……でもそれスッキリしなくない？」
「うんしない。だから2回連続とか出る」

いやぁ、女子高生ってバカですね。
英単語一個も覚えないくせに真剣にこんな話題で休み時間潰してるんですから。

以降、この友人がくしゃみをする瞬間に何度か居合わせたのですが、確かに彼女はくしゃみの前に息を吸わないんです。
ノーモーションでくしっ！ってする。
錬成陣なしの錬金術みたいな、詠唱破棄の鬼道みたいな。
どれだけ意識してもどうしても息を吸ってしまう私は、その可愛いくしゃみを見るたびに唇を噛みました。

結局可愛いくしゃみの習得を諦め、頑固親父くしゃみを夫の前で恥ずかしげもなく披露するアラフォーになってしまったのですが。
先日あることをきっかけにくしゃみに革命が起こりました。

10月に入ってから、気管支炎を患っていた私は病院に行くほどでもないかと空咳をほったらかしにしていました。
ときどきひどく咳き込むけど、ときどきだし。
寝入りと寝起きはえずくけどまぁいっか、と。

3週間ほどそんな調子だったある日、胸に激痛が走りました。
経験したことのない痛みに思わず「咳　肋骨　痛い」でググり、出てきた結果に慌てて整形外科に行きました。

肋骨にヒビが入ってました。
2箇所。

さらに1週間後もう1箇所ヒビ入りました。
夫には「もっとちゃんと食え！」と言われ、母には「もう若くないのよ」と言われました。

ヒビ入ってますけど、別に日常生活に特に支障はないです。腕も上がるし、腰を捻る動作も寝返りもできます。
ただ、

咳とくしゃみが拷問。泣

めちゃくちゃ痛い。激痛。医療用コルセット巻いてるけど激痛。
ただ、咳はギリギリ耐えられる。
でもくしゃみは無理。身体が痛みを覚えて出そうになっただけで恐怖で息が止まる。

そう、息が止まるんです。

私この1週間、めっちゃ可愛いくしゃみしてるよ！

悶絶しながら。