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映画『ボーンズ アンド オール』感想

公開初日に行けました!と言ってもルカ・グァダニーノ作品は『ミラノ、愛に生きる』『君の名前で僕を呼んで』の2作を観たことがあるだけくらいの距離感。この作品も前情報は一切遮断しつつもどうやら…なんか…人食い?くらいの知識で臨んだ次第。以下、ネタバレ(spoiler)ありの感想です。

◆山の稜線に電線が走って鉄塔が建ってる絵が映ってなんだか日本的でのどかね…なんて思ってたらふいに度肝抜かれたオープニング
◆ずっとこういう生活してきたんだなこの親子
◆いわゆる食人族の話。マイノリティは生きづらいよ、という以外に何のメタファーなのかな
◆めちゃくちゃハラハラし通しの130分
◆同族だから誰でも仲良しというほど単純ではない。むしろ脅威を与える対象として現れる
◆サリーは同族は食べないというルールを教えてくれるが、すぐ後でリーはルールは人それぞれと言う。この一言が後まで効いてきて無性に怖かった
◆映像すごく面白い。極端に引いてみたり動いてみたり。特に夕暮れ空のカットが印象的だ
◆車でアメリカを縦横に走ればそれはもう映画だよ
◆若い頃グレイハウンドの深夜バス乗り継いでバックパック旅をしたことがあるから、あのバスディーポの雰囲気とても懐かしい
◆ああいうぶっきらぼうな受付の人いるし、ああいうコンビニ的な店あるよね。もっと太った黒人女性が多かった。あんな綺麗な顔の白人はいないな
◆レストランでの隣席の子ども、明らかに何かを感じ取っている表情。あれは何だったのか。同族の匂いを嗅いでいたか
◆音楽も良かった。アメリカみをブーストする選曲。トレント・レズナー&アッティカス・ロスのコンビ。フィンチャー作品でおなじみ
◆妹よ…なぜ
◆マレン、絶対母のようにはならない、とはいえ父もいない、恋人もメンター(広義で)もいなくなって…この後どうやって生きていくのか。「あと60年も70年もこうやっていくの?」その通りだよ。心配
◆ラスト、ゾンビ映画で咬まれた恋人が言う変わってしまう前に俺を殺せ!のエクストリームなパターン。そんなの選べないよ
◆そして“骨ごと”いってたね
◆メタファーどうこう考え込まず究極のラブストーリーでしたでまとめてしまうのも正解かも
◆欲望というのは文字通り湧き上がるもので、いくら抑えてもいつかは溢れる。だから芸術家は絵を描くのだし、音楽家は曲を作るのだ。いや、それは因果が逆か。歌うしかできない人がシンガーになるし、絵を描くしかできない人が芸術家になるんだな
◆かつてCoccoはインタビューで「こっこの歌はうんこなの」という金言を放った
◆仮にそれが社会的に許されない選択肢だった場合、その欲望は行き場がなく、彼ら彼女らはひっそりと世界の隅で生きるしかない。そんなliving on the edgeな感情は、人生のある時期において誰にでもほんの少しはあるものだ。そういうものを描いた作品だった

あと最後にバカみたいな感想を言うと、普通にあんな量の肉一気に食べられなくない?とか余計なことを思ってしまった。冷蔵庫にちょっと保存するとかさ…。

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