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読書日記146【せめて無償で愛されたい】

 あたりめさんの作品で、副題で「人生に大きな期待はしないから、」とついている。冒頭からエンジン全開で、「男と女は分かり合えない」とある。「ジェンダーはどうするのかな?」と思うのだけど、そこらへんはあまり関係がない。自分がモテて、自分が幸せな恋ができれば何もいらない。と書かれているのだから、「その愛がない世界」と著者は今、歩いているのだと、読んでいてヒシヒシと通じる。

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 女性は最初は「あなただけいればいい」と言ってくれる。そこから、欲しいものを欲しがる。可愛い女性をというのが多いなかで、イケメンの男性に貢ぐ女性も多い。そうやって、悪い部分を言い合えば、そこに何が生まれるかな?と考えて書かれた作品な感じがする。

「メンヘラって全然可愛くないんだよ。むしろ気持ちわるんだよ」ではこう書かれている。

 最近、自称メンヘラとか、メンヘラを可愛いと思い込んでファッションメンヘラやってる奴多いけど、冷静に考えてメンヘラって可愛くないし、きもいから。周りの人からしたら、ただただ面倒くさくて重いだけ。精神的に自立してなさすぎて人に依存することしかできないカスじゃん。

 と書かれる。僕はそうは思わないけど、そこまで書ききるのはすごい。男女のありとあらゆる「矛盾」に突っ込もうとしている感じが、スゲーなーと思う。著者の吠える「心の叫びは」、キン肉マンの「屁のツッパリはいらんですよ」(なんか深い意味のようだけど、そこに意味がない)感じで、すごく心をえぐらずに叫んでいる感がある。

 昔ヤンチャしてたような男は今結構可愛い彼女がいるんだよなぁ・・・
女遊びを終えて可愛い彼女と落ち着こうとしやがって小賢しい・・・。それでうちの彼女よりブスだけどフェラがうまい女と浮気しだす、クソ。 
 付き合う前にヤッたからセフレになっちゃったって言うけど、美人女優が付き合う前にヤッたしても絶対セフレにならないし、なんなら彼女どころか嫁にされるからね。ヤり終えて朝起きたら「おはよう、結婚しよう」っていわれるわ。

 女性とか男性とかに分けなくても、男性でもそう思っている人は多いので、この手の苦情は良く聞く。そこで反論がないことに気づく、というか「この問って、答えがない」ってわかるからだ。

 僕らの前には音楽や映像や文章や色々なものが毎日のように流れている。今は黙ってお金を払わなくても、結構な音楽や映像を見ることができる。その中で溢れる情報があっても、「男女」とか「親子」とかそういったものは変わらない。これからは息子が稼いで、親がご飯を作ったり、奥さんが稼いで旦那は家で猫の世話なんて話はたくさん出てきそうな世界になっている。

 呟いたものが共感され本にされる。作家として本がでる。僕らには「苦情や騒音」のように聞こえても、それで心が響いている人がいれば、それが現実になる。読んでいてわかる「相容れない世界」を、今、普通に読めることに正直びっくりする。僕は今、違う世界観を除いていると気づく。そういった意味で読むとすごく面白くなってくるので不思議な感じがする作品。

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