読書日記261【これは経費では落ちません】
青木裕子さんの作品。副題で『経理部の森若さん』とある。天天コーポレーションという日用品メーカーというか石鹸が主な中堅企業の経理部に働く森若沙名子が主人公の話で会社の経理の話が軸となっている。この主人公のモットーというのは「うさぎを追うな」といっているように経理に徹底していて他のことに興味がない。
経理でというか帳簿をつける人にとっての敵というか『業務上横領』というものがなんなのか?というのを理解しながら、ビジネス的な話が淡々と進んでいく。利益を生む会社から給料の他に自分勝手にお金を使うというのは、ダメなのか?法律的に経費で落ちればいいのか?そういったことがシリーズを通して書かれている。
経費で買った撮影用のお菓子や果物、差し入れなどをお持ち帰りするのはいいのか?(いいらしい)とか、キャバクラやクラブで働く女性が会社に入り、高級グラブで接待をする。会社の重役がその店で接待をしてそれを接待費にするのはいいのか?(あいまい)とか書かれている。
読んでて思うことは最終的に「法律に触れるか触れないか」が問題なのであってルールの中で節税をしたり経費を使ったりするのはいいってことがある。仕事に関係ない食事を接待だよと言われてもそれが法律に触れないならオッケーというのが底辺にある。経費で落ちればいいわけで、そこにある領収書が経費で落ちればいいという結論に落ち着く。
読んでいてちょっと鼻につく感じと、世間的な正義とが主人公の中にあってそれがいつも格闘しているのは面白い。不倫をされたら不倫をしていいわけなく、罪と正論の狭間で皆が格闘しているんだなと思ったりしながら読んでいる。そこらへんが社会問題ともクロスして意味深くなっている。
なんかただのライトノベルでない感じを出している。原田ひ香さんや朱野帰子さんなどもそうだけど、生活感のある内容で読んでいて疲れを感じずに読めるのがとても良い。寒いけど日が照る時間がすこしずつ長くなって本を読むのにはちょっといい時間なのもある。
Amazon audibleで聴いていて読みたくなった。読んでみたのと聴いているのとでは微妙に世界観が違うのも興味深い。
この前、速水健朗さんのPodcastを聴いていてノマドワーカーとしての働き方として、最初にスタバに行き、近くのドトールなどとカフェを何件かはしごして原稿を書き上げると書いてあった。
Podcastとかもあるけどいい時代になったなと思う。作品というかクリエーターの人って(売れてる人)って音楽をよく聴く人が多い感じがする。というのは『水曜日のダウンタウン』とかで検証してくれないかとも思う。速水建郎さんのも音楽の知識があり、そこらへんを会話にまぜてくる。
僕らもオーディブルで小説を聴いて、文庫本や電子書籍で本を読み、特に部屋で何かをしなくてもよくなった分、小説が読めたりするようになっている。仕事が終わって帰りにスタバによってちょっと本を読んだりする。ストレス発散というかお酒の飲めない僕にとってのストレス解消になる。
さすがにパソコンを持ってウロチョロはしないけど、リモートワークの人やパソコンで全てをすませる仕事をしている人であるならとも思うけど、田舎にそんなにパソコンのみで仕事している人は少ない感じがする。ギグワークというか原稿を書いて食べてる人いるだろうけどとも思う。
この前読んだ『婚活マエストロ』の主人公の「猪名川健人」もクラウドワークスで仕事を探す作家だったなと思いながら読んでいたのを思い出した。