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読書日記260【倒産続きの彼女】

新川帆立さんの作品。作家として有名になったと言われている、テレビ番組『セブンルール』の過去の作品がTverで観れたのでそれを観ていたのと、読み終わるのが同時ぐらいだった。著者が高校生の時に夏目漱石の『吾輩は猫である』を読んで感銘を受けて小説家になりたいと思ったところはなんかリアリティがある気がする。

配信停止になるかもだけど、リンク貼っておきます。

文章の世界観っていくか限界ってあって、このストーリー以外に書ける分野ってあるのかなとも考える。

  1. 謎(ミステリー)

  2. 歴史もの・自伝もの

  3. ファンタジー

  4. 新しいジャンル

  5. 恐怖

  6. 恋愛

だと思っている。特にミステリーってお笑いの人が毎日ギャグを考えるというのに似てるというか、ツチヤタカユキさんの『笑いのカイブツ』を読んで解るのだけど、懸命にネタを考えて考えてというのが苦痛をいうか、捻くれて、嫉妬して、挫折して、生み出せなくてという苦渋を味わいながら常に推敲していることを実感させてくれている。

ミステリーもどういう謎?という構成から、誰が犯人なんだろう?とか、トリックの仕掛けとかそういったものを色々作り出す世界って魑魅魍魎なんだろうと思って読んでいた。小説って想像の産物というか想像によって理解する媒体だから「謎」に対して無限の期待感を生む……

作家が死に物狂いで考えてトリック(オチ)を作り出しそれをデフォルメしていく作業工程というかがおもしろい。やはり簡単には文章は生まれないんだと理解して読んでいるとやはり面白く感じる。

他のハウツー本(料理とか)・ライフハック・自己啓発とかは本でなくていいというか……売れるんだろうけど配信やネット記事などでいいなぁ~と思ってしまう。そういうので映像になりそうなものって売れないんだろうなとも思ってしまう。

本というか本でというのは脚本というか文章でないといけない骨格的なところをくすぐる世界観がないと遠回りしても売れる本って少なくなっていってしまう感じあるし、作家とかも見誤る感がある気がする。


今回の主人公は前作の剣持麗子けんもちれいこではなく同じ法律事務所で働く美馬玉子みやたまこ、ちょっとぶりっ子な感じもあるが、孤独を隠し苦労している女性でもある。

老舗のアパレル会社のゴーラム商会の担当になった玉子だが、倒産の危機にあっている。メールで「この社員が務めた会社が全て倒産している」というメールが届き上司からそれを調べるように言われる。

この社員の近藤まりあを調べていく内に殺人事件が起こる。複雑に絡み合う謎が謎を読んでいくストーリー。


作者が死に物狂いで謎を深めていこうとしている感じがある。作家になってしまうと一回書いてしまったストーリーを大胆には変更できないはずだから、(締め切りがあるので)その中でオチをどこに持ってきてとか、変な構成になってないかとかを考えた節が残っている。こういう作家は数年経つととんでもないミステリーを書いてくれる気がして期待してしまう。

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