読書日記259 【元彼の遺言状】
新川帆立さんの作品。デビュー作であり話題作でもある。テレビドラマ化もされているし、内容を知る人も多いと思う。作家としての仰天エピソードとして、司法研修時代に麻雀のプロ検定にも合格しているというのがあるらしい。
著者が新人作家になる方法として、新人賞を取ることが大事としている。その中で「このミステリーがすごい!」の新人賞をあげていて、それが選考過程のクリーンさというか、どうして選んだのかが詳しく書かれていたと言っている。その中での対策を5項目にあげていて……
キャラを立てる
華やかにする
魅力的な謎
新しい設定・新しい素材
現代的なテーマを入れる
となっている。この項目でこの「元彼の遺言状」も書かれているというのがすごいというか「傾向と対策」を作ってそれで小説を書くという新しい形のような気もする。
東京大学の法学部を卒業して、弁護士にまでなってから書いた作品というのも話題になっているけど、そこらへんも計算だったと言っているのもスゴイと感心してしまった。
『有隣堂しか知らない世界』というYouTubeは今やチャンネル登録者数31万人もいる有名サイトだけど、新川帆立さんはチャンネルでき始めに(チャンネル登録数3000人ほどの頃)出演していて、新人の時でもあって内容も面白くなっている。
主人公の剣持麗子優秀な弁護士として高額の給料を貰っているが、ボーナスが少し減るということで弁護士事務所をやめてしまう。麗子は自意識過剰な女性として個性的に書かれている。(キャラを立てている)
フリーというか無職になった麗子に突然、個人的に依頼がくる。そこで大学時代に3ヵ月付き合った彼氏が森川財閥の御曹司の森川英二が突然「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」と遺書を書いていたことを知る。(華やかな世界観)
巨万のお金が手に入るという下心で篠田を犯人にするという突拍子もない依頼を受ける麗子なのだが……
依頼をした篠田や森川英二の家族、財閥の顧問弁護士などが登場し謎を深めていく。ただ、麗子は言葉巧みに「犯人選考会」のメンバーになって、この事件の謎を解き明かしていく……(新しい設定)
ただ、色々な苦難も始まっていく。遂には「遺言状」さえ盗まれてしまう。謎が深まる中で麗子はあるきっかけから、事件の深層に迫っていく……
(魅力的な謎)
2020年の『このミステリーがすごい!』大賞を受賞している。本も売れているし、経歴のすごさもあって人気もでたけど、今は弁護士を休職して作家活動に専念しているらしい。
作家がダメになったら弁護士をして食べていこうと思っているらしく、そこらへんはマネのできない部分ではあるw(というか面白い人って感じがするw)
今はアメリカに住んで作家を続けているらしいので、作家としては順調な気もする。続編も書かれているので読んでみようと思います。