あの子は今、
陽が落ちるのを眺めるためだけに、散歩に出かけた。
ここはきっと、唯一富士山が見えるところ。
空がうっすらと暗くなっていく中、夕陽に照らされた富士と山々の姿は、影絵でも見るかのようにはっきりとワタシの目に映った。
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自宅から徒歩15分くらいにある駅の近くでは富士山が見える。見えるといっても雪化粧の当たりが少しばかりといった具合だけれど、それでも富士山であることに変わりない。
富士山に対して、特別な思い出も思い入れもないけれど、見れた日は思いがけず好きな人に出会ったときのようななんとも言えない気持ちになる。
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あの子は今、何をしているのだろうか。
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そんなことは微塵も思わなかった。と、いったらきっと嘘になる。けれど、三が日に夕陽ごしの富士山を見ることができてよかった。
予定はもう決まっているけれど、会いたい人に早く会いたいな。
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