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法学部、またの名を幽霊学部といふ。
法学部の授業は教養科目を除くと一切出席点がありません。そのため、他学部とは異なり、授業に出席しても直接的にはそれが単位認定にはつながらないのです。
出席点がないと何が起こるのでしょうか。学生がひとりまたひとりと「幽霊」になっていきます。法学部の授業は基本的に大講義室で行われます。初回の講義では200~300人ほど学生がいます。後方に座りたければ10分前には入室していないといけませんし、講義開始ぎりぎりに入室すると最前列の席以外は残されていません。当たり前のことですが、初回の授業ではほとんどの席が埋まっています。
しかし、第4回の授業(4月末)ともなるとどうでしょう。後方の席はいまだ混雑しているものの、講義開始ぎりぎりに入室しても最前列しか空いていないということはありません。どうやら1~2割の学生が消えていったようですね。三日坊主ですかね。
5月のおよそ1週目にはゴールデンウイークというイベントがあります。どうやら法学部生の多くはこの期間に大学よりもよほど楽しいものを見つけてしまうらしいのです。ゴールデンウイーク明けの授業ではさらに1~2割ほどの学生が消えていきます。幸か不幸か、私はゴールデンウイーク中にそんな楽しいものを発見することはできませんでしたが。
さらに、6月に入ると梅雨の季節となります。するとどうでしょう。雨云々ゆえと、法学部には今日はやめとく、明日もやめとく、・・・、大学行くのやめとく、となる学生が増えます。数にして1~2割ほどでしょうか。捨てゼリフに「まあ、出席点ないし」と言って。
そして、7月になると夏が来ます。幽霊は太陽が苦手です。暑さに打ち勝てない幽霊はここで、家の方が涼しくて効率良いしと言わんばかりに消えていきます。
結果的に、ここまで何人残っているのでしょうか。去年の憲法の授業の記憶だと初回の1/3ほどになっていた気がします。他学部の友人にこのことを話すと決まって半信半疑の様子ですから、他学部ではありえないのでしょう。
しかし、ここにきて学生が一気に爆増します。それは試験直前の授業です。今まで幽霊と化していた学生もようやく目を覚まし、少しでも試験に役立つ情報を収集しようとばかりに出席します。毎度授業に出ている学生も試験直前の授業ではうっかり開始ぎりぎりに着席しようとでも考えていると席の確保に苦労します。
そして、試験当日。初回以降、次々と幽霊化していた学生オールスターズが満を持して集結します。法学部生の出席数の変化、それを担当教授が「いやあ、久しぶりに密だね~。」というお言葉でまとめてくれます。
冒頭写真:みんなのフォトギャラリーより引用(2022/6/5)
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