見出し画像

【見分け方】個人出版のKindle本はお金を出して買うだけの価値があるのか。

 Amazon社が運営する電子書籍サービスたるKindle。個人が一切費用を負担することなく出版できるとあって(※)、”Kindle作家”という言葉が生まれるほど多数の個人作家が活躍しています。一方で、個人出版ゆえ内容のクオリティに疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。

※執筆用の電子機器代や通信費を除く。また、諸々の出版補助・代行サービスの利用も考慮しない。

 そこで、個人出版のKindle本はお金を出して買う価値があるのか否か、実際にKindle本を1年前に出版した私の見解をお話できればと思います。



※個人出版の定義・見分ける際の注意
ここでは「いわゆる”出版社”が書籍の作成過程に関与していない」ものを個人出版と定義します。

 以下のように書籍紹介ページにて「出版社より」と書かれている書籍が多々ありますが、これはA+コンテンツという誰でも設定できる機能であり、決して皆さんが想像されるような”出版社”から出されている書籍であることを意味するものではありません。
 また、表紙にて「○○出版」とあたかも商業出版かのように名乗られている書籍が散見されますが、実際は個人出版であることが少なくないため注意が必要です。

A+コンテンツを利用することで、販売ページにて個人出版・商業出版を問わず誰でも「出版社より」と表示させることができるため注意が必要。


 それでは本題です。
 自分へのブーメランになりそうですが笑、個人的には、Kindleの個人出版本は残念ながらクオリティが高いものが多いとは思いません

 確かに、近年、表紙のクオリティ競争は激しいようで、Canvaといった優秀なサービスを利用したり数千円で作成を外注したりして表紙部分に限っては商業出版と大差ないほど表紙のレベルは上がってきています。

 しかしながら、肝心の中身はそれに伴っていないことが如何せん多いという印象です。事実、出版費用はゼロ円ですし、Kindle側で内容の良し悪しは審査されませんから、1冊当たりの収益が低くとも書籍を大量に出版することでそれをカバーするといった商法を採られている方も見受けられます。
 また、内容が著者の運営するセミナーへの勧誘ばかりだったということや書きかけのまま売られていたということもあります。

 もっとも、Kindle本の中には商業出版されている紙の書籍では得られない貴重な情報が記されているものも存在します。そういったものに関しては購入する価値が十分にあるでしょう。

 そういった買う価値がある個人出版の書籍の見分け方ですが、個人的には①ページ数、②低評価かつ内容が具体的な口コミから判断しています。

 まず、ページ数です。

 私の経験上、100頁を超えているテキトーに作成されたKindle本に出会ったことはほぼありません。内容を数十頁にわたって水増しするのも決して楽ではないですし、100頁ほど使われていればそれだけ内容に深みがあることが少なくですから。

 一方で、20~30頁しかない書籍は内容が薄い傾向にあるとあります。もちろん、言わんとすることを出だしから単刀直入に述べているという作家さんもいるかもしれません。しかしながら、大抵の場合、20~30頁の書籍は数ページで書ききれるはずの内容の神髄を出し惜しみして、書籍冒頭の「はじめに」や一般常識レベルの内容でひたすらページ稼ぎをしています。

 ゆえに、ページ数が少なすぎないかという点に注意すべきであり、1つの基準として100頁をオススメしています。

 次に、低評価かつ内容が具体的な口コミについてです。

 高評価の口コミは作家同士のよしみで書かれたり、有料でレビューを書いてもらっていたりするものが少なくありません。もちろん、100や200個口コミがついていれば問題ないでしょう。しかしながら、口コミ”管理”はKindleの収益を伸ばす手法の一つとして作家側で謳われていることもあり、数十個程度の口コミだけでは個人的には信用していません。

 一方で、低評価と付けている口コミのうち、内容が具体的なものは利害が絡んでいないため比較的書籍を妥当に評価している印象があります。それゆえ、購入の可否を決する指標の一つとして妥当ではないかと私は思っています。

 ただ、いずれにしろあくまで判断指標の一つにすぎず、そういった外部的事情をもって書籍の中身の是非を適切に判断することには限界があります。

 それゆえ、私はKindle Unlimitedという月額980円(税込)の定額読み放題サービスに加入して購入後に発生する書籍の当たり外れを回避することを推奨します。

 Kindle内の全ての書籍がKindle Unlimitedの対象となっているわけではありませんが(著者任意の登録制のため)、個人出版本の多くは読み放題の対象とされています。

 Kindle本1冊当たりの値段は決して安くありませんので(例えば、私の世界史の参考書は各巻750円です笑)、Kindle Unlimitedに加入して本当にキープしておきたい書籍のみ買い切りを選ぶというのが、玉石混淆なKindle書店内での上手い立ち回り方だと思います。

自著の宣伝


サポートを頂けるのも嬉しいですが、スキ・コメントをして頂けるとすごく励みになります!