幼児期の「満足遅延」は各文化特有の「待つ」習慣の影響が大きい
京都大学(京大)は7月19日、幼児期の「満足遅延」(すぐに得られる小さな報酬を我慢し、将来得られる大きな報酬を優先すること)が文化に特有の「待つ」習慣により支えられることを明らかにしたと発表した。
子どもの満足遅延を検討する課題として多用されている「マシュマロテスト」。米国で開発されたもので、子どもにマシュマロなどのお菓子を1つ差し出し、「今すぐにこれを食べてもいいが、食べないで待っていたら、後でもう1つお菓子をあげよう」といって、標準的には15分待つことができるかどうかを試すといったもの。
以前の研究では、子どもの満足遅延は各自の認知能力が反映されると想定されていたが、2010年以降の研究では、他者との信頼関係など、社会環境からの影響に強く左右されると考えられるようになってきた。
今回はそうした最近の流れを発展させ、子どもたちが日常生活の中で積み上げている待つ習慣が、彼らの満足遅延を大きく左右するという可能性を検証することにした。
具体的に日本の子どもの「待つ」習慣として着目されたのが食卓習慣。日本では、家族やクラスメートなど、ほかの人の準備ができるまで待って、全員で「いただきます」を唱えてから、はじめて食事を始める食卓習慣がある。そのため、日本の子どもは食べ物を前にして「待つ」経験が多く、テストで待ち時間が長くなると予想。仮説を検証するため、文化の異なる日本の4~5歳児80名と米国の4~5歳児58名が参加した、2つの比較実験実施。
テストはマシュマロとプレゼントの2通りで実施。
米国はプレゼントを待つ時間が長く、日本はマシュマロを待つ時間が長かった。
これらの結果から、子どもの満足遅延は、単に自らの注意や思考を制御する認知能力の高さを反映しているのではなく、文化内で蓄積された報酬を「待つ」習慣によって支えられていることが示唆されると研究チームでは説明。
研究チームによると、今回の研究成果については、満足遅延課題では、対象となる報酬や個人によって異なる心理プロセスを測定している可能性があることを示唆するものであるとする。たとえば、日本の子どもの場合、マシュマロテストの待ち時間は、主に食べるのを待つ食卓習慣の強さや習慣を作る際に必要。集団の行動に対する感受性が反映されている可能性がある。一方、プレゼントを開ける場面での待ち時間は、自らの注意や思考を制御する認知能力の高さや他者への信頼感などの影響をより強く受けるかもしれないとしている。
今回の結果は、子ども個人の認知能力のみならず、個人を取り巻く他者、集団、文化により支えられている可能性が示されており、子どもたちを取り巻く環境を教育・福祉の中でどう形成してゆくかが、子どもの満足遅延にも大きな影響力を持つと考えられるとしており、今後は、子どもの満足遅延がどのように形成され、そしてその個人差や発達差が将来的に重要な意味を持つのかどうかといった、長期的な視点を持った研究の実施が望まれるとしている。
⇨待つ習慣。一見すると。今を我慢して将来の大きな報酬を得ること。良いことしかないような気がする。
これは約束された報酬。なのか。
中々難しいが、幼少期は家庭の文化圏から、学ぶことができる。簡単な事から、食卓での統一されたいただきます。
何か、面倒な事があると、許してしまうが、
待つ能力でもある為、意識していきたい。