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掛け算順序問題について思うこと

定期的に見る掛け算順序問題について,少し考えを吐き出したいと思います.

立ち位置としては,私は中立であり,順序がある,ない派閥の両方の意見に対して双方正しい言い分があると思っています.
ない派閥についてはたくさん転がってるので書きませんが.

ある派閥の肩を持つ理由ですが,掛け算の単元というよりは文章題の理解ができていない可能性があるためです.

背景情報として,私は頻繁に小学校の生徒に対する算数教育の現状についてお話を聞く機会があります.
また,その現場は学習進度が少々遅れた児童が多めに見られる場所であり,X で意見を多く記述する有識者の方々はあまり関わりが無いのではないか,と想像しております.

算数の文章題の回答例

このような環境において,児童の算数の能力の差というのは文章題で大きく出ます.
次の2つの問題を提示します.(漢字はひらがなになっているものとする)

ex1. 秋田くんは6つ,渡辺さんは9つ,櫻井さんは3つのりんごを持っています.合計いくつのりんごがありますか.

ex2. 3人の子どもがそれぞれ6つ,9つ,3つのりんごを持っています.合計いくつのりんごがありますか.

(色々と揚げ足を取れる場所はあるのですが見ないでいただいて)

さて,上の問題について正答率はどうなるでしょう.
予想ではありますが,私は下の問題の正答率が低くなると考えられます.
そして誤答として,21 という回答が多く出現するでしょう.

なぜ?

簡単な話であり,文章題を読まない児童が存在するためです.

・ω・ 。o◯ (今は足し算の単元だし,出てきた数字全部足しちゃえ)

このような児童は ex1. では正しく回答できます.しかし ex2. では"3人の子ども" の "3" を取得するため誤った計算を行うのです.

これは,全く誇張では有りません.(なんならまだマシな児童)
ちなみに,一部の学習塾に(通う|通っていた)児童にこのような解き方が多く見られるとかなんとか.色々文句を言いたいです……

掛け算順序問題へ

掛け算においても同じです.
児童に次の問題を回答させてみましょう.

ex3. 皿が5枚あります.一つの皿にりんごが3つずつ置かれているとき,合計でいくつのりんごがありますか?

これに対して,文章題を読めていない児童は "5×3=15" と回答するのです.

ええ,もちろん数学的には正しいですよ.可換ですし.
けど,可換だからこうしてるわけではないんです.問題に出てきた数字を書いて,単元が掛け算だからかけてるだけです.

これに対してバツをつけるのはやり過ぎ,などと思うことはあれ (何なら私もバツはやりすぎじゃないの,とちょっと思っている) ,頭ごなしに教員を否定することを,今はできないのではないでしょうか.

文章題の意味は文章を読み,そこから式を立てるところまで.
それができていないからバツをつけた.
納得はできなくとも理解はできましょう.

まとめ

以上のことを受け,私としては文章題で掛け算の順序を逆に書いている児童がいたためにバツをつけた,ということに対して完全に否定することはできないのではないか,と考えています.

もちろん,ここまでのことをわからずに,学習指導要領などに書いてあるから,そうしろと言われたから,と受け身の態度で指導している先生もいるかも知れません.
一方で,これを見過ごしたことで児童が今後,文章を読まないで文章題をとき困ることがないようにバツをつけた可能性も十分にあります.

ぜひとも小学校の先生は馬鹿だ,のような発言をするのではなく,以上の状況はわかるがこういった指導方法もあるのではないか,のような発言・発展をしていただければと思う限りです.

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