デンマーク暮らしの日記(1月20日)
家から徒歩45分ほどをかけて電車の駅に向かう。1月の頭に降り積もった大雪が、少し溶けたりまた固まったり、また新しく降り積もったりを繰り返し、つるつるした氷になっている。滑らないようにゆっくりと慎重に歩く。こんな生活ももう3週間になる。さっさと全部溶けてくれと雪を忌まわしく思ったりする。
今日は、わたしの住む街から大きな都市に向かう電車に乗った。この路線の車窓から見える景色は何度見ても圧巻だ。特に夏の晴れた日、冬の晴れた日の出、日の入りの時間帯は、車窓から見える湖が物語のワンシーンのように輝く。初めてこの景色を見た日のことは、一生忘れることはないと思う。今日はあいにくの雨だったものの、雪を被った丘や森もいいものだと思った。
これは今のわたしの日常だ。もうすっかり、わたしはその中に溶けんでいるような気がしている。家から飛び出して3分も歩けば湖に出ることも、どこのお店に行ってもたいていパンとコーヒーが美味しいことも、常にデンマーク語に囲まれた生活であることも、簡単に日本の食材が手に入らないことも。その日常が過去になる日が近い。また新しい日常が始まるのだ。
楽しみであり、変化するときはいつだって、さみしい。どうしたって、わたしは自分の居ない方の土地を恋しく思ってしまうけれど、2つもホームだと思える場所があるのは幸せなことなんだろう。どちらも大切な場所。わたしは確かにどちらでも生きてきたのだから。