3. 手応え最悪だった志望校別面接 - 会社員が国費で海外の大学院に行くまで
韓国政府奨学金の選考過程も、いよいよ最後。
この志望校別面接までに、実に3ヶ月ほどが経過しています。
長い期間焦らされ続けて、だんだんと精神的に疲れがきます(コラ)。人様の国で「税金を使わせて!」「留学させてくれ!」と懇願している訳なので、当然でしょうが。
ただ、この面接さえ通れば留学はもうすぐそこ!
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そんな心境の中、真っ先に連絡をくれたのは成均館大でした。
デカデカと貼り付けされたロゴだけで、いよいよ実感が湧いてきました。
仕事中にも、+82の国際番号がついた見知らぬ海外の電話番号から、複数回着信がありました。怖い怖い。
「日本では仕事中にプライベートの電話はなかなか取れませんがな!!」
と心の中で叫びながら仕事をしていました。
が、
「この対応から面接って始まってるんじゃないか」
だなんて、不必要な心配なのか、必要な慎重さなのか分からない何かを抱きながら、恐れ恐れ折り返しの国際電話をし、日程を決めました。
当日は、大使館面接と同じく駅ナカのテレワークブースを利用。
突然ですが、研究対象である芸術・文化にまつわるマネジメントは、果てしなく広く深い内容を扱います。その上教授によっても専門分野は千差万別。
学校ごとに特徴こそあるものの、分野の多様さに対応しようと、幅広く教授が招かれています。
加えて、当日どの面接官に当たるのかも分からないため、専攻内容に関わることはどういった角度から聞かれるか、さっぱり!想像がつきません。
再度、片っ端から論文を読み漁るも、手応えを感じることのないまま当日を迎えました。
実際の面接では、
なぜこの大学のこの学科を志望したのか
他の大学を第一志望に書いているが、うちには来ないのではないか
(願書には地方の学校しか第一志望に書けませんでした)なぜ韓国でこの勉強をする必要があるのか
(=日本でできることをなぜ韓国で?)成均館大には音楽学部がないが、なぜ希望することを研究できると考えるのか
主にこの4つを聞かれました。
印象としては、NAVERブログやYouTubeに載っていた、韓国の院試面接でよく聞かれることと概ね変わらず。
質問に対する答えも、自己紹介書や学業計画書で既に準備していました。ただ、いくら準備していても教授たちはその道の知の巨人たち。20代そこらの坊主が太刀打ちなんて、滅相もございません。
大学院での学びの難しさを、まざまざと感じさせられました。
また、面接官側はそう頻繁に国費留学の選考をしている訳ではないので、制度に対してあまり理解がないご様子でもありました。
今、成均館大の寮の中でも、外国人が優先的に配置される寮に住んでいます。寮の共用スペースで同じ留学生と話す中で、国費留学、かつMBAの学生が多いことに気づきます。
彼ら曰く、延世大のMBAが国費留学での入学を認めなくなってから、成均館大に流れ込んでいるそうです。その分、校内でも韓国全体でも、国費留学で入学する学科・専攻に偏りがありそうに感じます。
そのため、国費留学の受け入れに馴染みのない教授だと、制度の詳細については理解がないこともあり得るように、入学後のいまも感じます。
(入学後はむしろ知られていない方が気が楽ではありますが)
…と言い訳を散々書きましたが、この渋い反応に
「まあ、まだまだあと2校あるし!」
と自ら鼓舞しながら、小田急線経堂駅を後にしました。
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そして、ここから待てど暮らせど連絡が来ない来ない!
Facebookに、世界中で同じ韓国政府奨学金を受験している人たちのコミュニティが存在します(年度ごとに複数あるのでぜひ探してみてください)。
そこでは毎日のように
「⚪︎⚪︎大学から連絡があった!」
「⚪︎⚪︎大学は面接なし、書類だけ見るみたい!」
など、たくさん情報が上がってきます。
そうして、毎日SNS中を徹底的に調べ上げていること2週間。
釜山にある志望校からもメールが届きました。
内容は、
うちの学校には合わないと思うよ
ここじゃその研究は難しいでしょう
出願取りやめたら?
とのご指摘でした。
スクロール2回分ほどの文量で、ご丁寧に説明いただきました。
成均館大の面接に手応えがなかっただけに、唖然でした。志望校については事前に十二分なまでに調べ上げたつもり、加えて韓国人の先輩にも細かく確認してもらっていたのに、学校と合わないと言う理由で出願取りやめだなんて、考えてもいませんでした。
これまた唐突ですが、、
韓国は、日本よりはるかに首都圏一極集中が進んでいるのは周知の事実かと思います。
日本は総人口1億2千万に対し、首都圏人口は4千万人ほど
韓国は総人口5千万人に対し、首都圏人口は2.6千万人ほど
韓国国民のおおよそ2人に1人が首都圏に住んでいることになります。
さらに、教育の現場においても首都圏一極集中の問題は顕著に見られます。
日本の二番手大学は皆が知るように京都大学。ただ韓国の二番手は伝統的に延世大か高麗大で、いずれもメインキャンパスはソウル市内です。
その次も成均館大、西江大、漢陽大など、ずっと”インソウル”の大学が続きます(総合大でない、POSTECHやKAISTをどう位置づけするかなど、順位には多説ありますが)。
受験生も教授陣も、研究インフラが整った首都を好む傾向にあるようです。
メディアや学界では、ソウルが韓国の北部にあることから「桜の咲く順番に、大学は廃校していく」とも言われているよう。
こうした背景からも、競争が激しい韓国では、いくら韓国第二の都市・釜山にある大学でも”地方大”というレッテルから逃れられない現実に日々向き合っていることと思います。
面接で別途手間を取られたくないのか、はたまた思いやりなのか。詳しくは書けないものの、ご丁寧で長いメールの行間からさまざまなニュアンスを感じてしまいました。
そうこうしているうちに、最後の一校からも同様のメールをいただきました。
こうして呆気に取られながら、最終ラウンドが終了。
次回は実際の韓国入国まで、海外移住に係る準備についてもまたまとめてみたいと思います。
毎度長い文章をお読み下さり、ありがとうございます!