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都市づくり5.0 Beyondコロナの都市づくり品と50 ⑴都市づくり5.0の時代

内容:Ⅰ 都市づくり4.0まで/ Ⅱ コロナショックに伴う3つの価値シフト/Ⅲ 量の経済性から質の経済性へ そしてハイブリッド都市開発へ


Ⅰ 都市づくり4.0まで
「都市づくり4.0」と言うのは、私が亜細亜大学で都市計画論の講義に使用していた造語です。戦後の都市開発は「とにかく建てれば良かった時代:1.0」の復興期から始まります。その後 高度成長期にはパルコなどに代表される商業ビルなどを中心に市場・競合調査やテナントMIXを工夫した都市開発が推進され、「マーケティング思考が必要になった時代:2.0」と定義しています。さらに バブル経済期にはキャナルシティ博多のように外国人建築家を起用したり、当時の言葉でインテリジェントビル化などの方策で、競合開発との差異化を図り集客を競っていました。「付加価値開発の時代:3.0」です。 そしてバブル経済の崩壊を経て2000年代後半からはコミュニティ・産業創造など地域貢献施策を含む「ソフト重視の時代:4.0」へと変遷してきたと考えています。
従来のビル開発事業は「自分の土地をどのように使おうと自分の勝手だ」と言わんばかりに、仮囲いを建て現場をかくし完成予想図を掲示するだけで、周辺住民との関係は必要最低限に抑えられてきました。1.0の時代には自分の土地のことだけを考えていれば良かったのかもしれません。2.0の時代になり、周辺地域は市場としての視点から分析され、競合施設とのポジショニングを競っていました。3.0の時代ではマーケティング観点だけではない、デザインや機能など様々な付加価値で差異化方策が模索されるようになります。そして4.0の時代になるとエリアマネジメントなどに代表されるように地域と連携しながら、街間競合にしのぎを削るようになるのです。
単なるビル開発から少しずつ視野を広げて、丸の内、六本木、渋谷、新宿など街を丸ごと作り替え、街間での競争を繰り広げるようになっていました。そして対象分野も従来の「建築」や「都市計画」の知識だけではなく、「マーケティング」や「コミュニティ」「ビジネス創造」のノウハウなど幅広い領域のスキルが必要になってきました。もはや「理系」の比率よりも「文系」分野が重視されると考え、文系に属する亜細亜大学都市創造学部で講義していた訳です。
そこにコロナショックが到来します。これまでの都市の論理であった「集積に伴う経済合理性」が根本から覆されました。まさに「都市づくり5.0の時代」の幕開けと言える大転換だと考えます。

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