次世代医療モールの時代⑦「個人・寄り合い」から「法人・仕組み化」へ
2020年時点で開業医の平均年齢は66歳でした。2004年から約10歳高齢化したことになります。開業まで5-6年かかり、開業後は数十年運営していく都心の様々な複合開発の事業構造を踏まえ、プライマリーケアの拠点として都市型医療モールを導入するとなると、この平均年齢では継続性が危惧されます。従来のように開業医を集めるだけでなく、法人・仕組み化による事業継続性が必要です。街なかの個人商店がコンビニエンスストア(以下コンビニ)に進化したプロセスが参考になるのではないでしょうか。コンビニは法人としてフランチャイズ化し、顧客情報に合わせて品揃えを厳選してきました。もちろん大規模ショッピングセンターの品揃えは真似できませんが、日常における一次商業施設として必要な様々な商品(より個人向けの提供量及びパッケージ)により、洗練・進化してきました。さらに郵便や公共料金の取り扱いやチケットサービスを集約し、「街カフェ」機能を付加した上に、公衆トイレ的な役割まで担って、街なかにおいて欠かせない生活利便インフラとして機能しています。
都市型医療モールもプライマリーケア(=一次医療サービス施設)として、都市で健康に暮らすために欠かせない、サービス水準を維持・継続すべきではないでしょうか。求められる医療サービスの水準と質を把握し、より気軽に診療でき、曖昧な患者の症状に対して共同で的確に診察・治療し、必要に応じて専門的な高度医療機関に連携していく仕組みを継続していくマネジメントが必要です。高齢者が普段使いのコミュニティ施設として利用するため「コンビニ医療」と揶揄されてきた街なかのクリニックですが、本当の意味で健康に関するコンビニ化し、健康生活インフラ化いくことが求められているのです。