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江戸期の旅行、旅行で知る国民性

学生Q.今日は教室がとても静かだった。先生なんか裏ワザ使いました?
コクジーA.実は、どうしても私語が止まないのである実験をしてみました。私の師匠に「くれぐれも授業中にはやらないように」と注意を受けていたのですが、これまで封じていた「遠隔催眠術」を行使してみました。君がそういう質問をするということは君だけかかっていなかったみたいです。未熟でした。

学生Q.昔の日本人が観光するのに「関所」や「貨幣の交換」が阻害条件として機能していたなんて知りませんでした。先生は現在の海外旅行と同じような物、とおっしゃっていましたが・・。また、飯盛り女って失礼なネーミングですが、そんな人たちが宿場で働いていたのですか?        コクジーA.先週の講義で言いたかったことはまさにその点です。昔のことだから、仕組みとかシステムとかはずいぶん原始的なんだろう・・・と我々はつい思ってしまいますが、どのような時代でも人々は知恵を絞り、緻密な社会制度が形成されています。関所はもともと中央政府(幕府)の安全保障策であったわけですが、現代社会に当てはめるとイミグレーションそのものでしょう。また、大坂と江戸で使用していた貨幣が異なっていたため、交換してから旅に出てなければならない、ということはマネー・エクスチェンジに相当します。また、飯盛り女とか留め女の話はやや品位にかけるので教材としてはどうかな、とは思ったのですが、飯盛り女はホステス、留め女は「客引き」の役割ですね。私の想像では彼女たちはおそらく歩合制で稼いでいたのでしょう。留め女については葛飾北斎の浮世絵を見ると見目より、腕っ節を優先したような女性が描かれています。今も昔も、観光にネガティブな要素があるのは隠せません。「人間の欲とか業」はどの時代でも変わらない本質なんだということが窺えます。

学生Q.授業中に決められた席を移動している人がいるみたいです。先生、注意してください。ところで、今は思い立ったらすぐに行ける伊勢参りも、昔は大変な苦労だったんだなと思いました。けど、詳細を学んでみると、今の旅行と同じ所もあり、変わらない、ということが素敵だと思いました。
コクジーA.皆の感想をみていて思ったのですが、歴史というのはある特定の人間がずっと長生きして進歩を重ねてきたのではないですね。当たり前ですが。たいてい寿命60年くらいで、人の人生は繰り返しの蓄積です。ある人が60年かけて進歩しても、その子供はまた1から出直しです。同じ事をまた学ばなければなりません。親と同じ間違いもするでしょう。「最近の若者は・・・」と叱られてムカっとしても、自分が老人になれば、同じことを若者につぶやきます。科学や技術は先人の成果が残りますから、そこを継ぎ足していけばいいのでしょう。しかし、人間の本質は、地球上で何億、何十億の規模で螺旋状態で行ったり来たりしているような気がします。

学生Q.日本と外国の文化や慣習や考え方の違いが意外だった。観光の勉強でこんなことに気づくとは思っていなかった。
コクジーA.海外へ出かけると、旅行者レベルでもいろいろな国民性の違いに気づきます。お隣の中国ともずいぶん違います。彼らは日本人のような熱いお風呂をきらいます。むしろシャワーが普通で、欧米人に近いでしょう。食事の時も騒々しいだけでなく、骨やら食べカスをテーブルの上にぶちまけたり、下にバラバラこぼしたり、ウエイトレスもフキンじゃなく小さなホウキを持ってテーブルの掃除します。聞いてみると、これは行儀の問題ではなく、店や料理をしてくれた人に対して「うまい、満足だ」という態度の表明でもあるらしいのです。贈り物をする時、日本人は「つまらないものですが・・・」なんて挨拶しながら渡しますが、アメリカ人なんかからみると、「つまらないものを俺にくれるって、なんやねん、それは・・・」という印象を持つらしいですね。イスラムの国で、可愛い幼児の頭をついナデナデなんかすると、親は怒ります。宗教的に許されないのです。アフリカで人の写真を撮ろうとすると「魂を抜かれた!」といってめちゃくちゃ怒ります。エジプトなんかで交通事故を起こして、相手をひいてしまったりすると大変です。すぐにその場から逃げないといけません。我々はそれだとひき逃げやんか、と焦りますが、その場にとどまると報復リンチを食らいます。皆さんも卒業旅行の際には注意しましょう。

学生Q.先生の顔にパワーポイントの映像が映る場面がちらほらあります。そのため、見えづらい時があるので、授業に集中できません。
学生A.自分のパソコンならどこにでもおけるのですが、デスクに備え付けの常設パソコンを使っていると、マウスのコードが短くてついつい、中央に体を乗り出してしまいます。そうすると顔がスクリーンにかぶさるみたいですね。ごめん。私が中学生のころ、理科/生物の担当でとても怖い先生がいました。50歳くらいの女性で性格がとても暗く、声も低くてささやくようにしゃべります。普段からなにかあちらの世界の人みたいでした。当時はプロジェクターなどなく、スライド映写機を使っていました。何かの細胞の顕微鏡写真だったと思いますが、それが先生の顔にまるまま写ってしまったのです。顔中がブツブツです。女子は皆悲鳴を上げました。それを先生がギョロッとにらんだものですから、火に油です。今、思い出すと先生に大変失礼なことをしてしまいました。

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