もう一つのクリスマス・ストーリー
『母親アップデートコミュニティ公式のアドベントカレンダー「クリスマス ストーリー」(https://note.com/huc/n/n1f310d3ac306)の記事です』
早いもので、今年ももう12月。
寒いのは苦手だけれど、この季節は大好き。
意味もなく街に出かけたくなる。
趣向を凝らしたイルミネーション。その中を歩く人たちを見ていると、みんなが幸せそうに見える。
まだ終わっていない仕事もあるけれど、ちょっと早めに出かけて友達と一杯飲みにいこう。だってクリスマスだもん。年末だもんw
クリスマスのリアルと戦略
10年前は、こんなにのんびりクリスマスシーズンを楽しむことはなかった。
12月はビッグイベントの月。
そう、サンタクロースが我が家にもやってきていた。
うちには、3歳違いの兄弟がいる。
彼らが10歳になるくらいまでは、ツリーを飾り、アドベントカレンダーを用意し、チキンやクッキーを焼いた。
どこかのドラマや映画で見た西洋風のクリスマスを真似して、力一杯この季節を演出した。
そんな母のウキウキ気分とは関係なく、子供たちにとっての一番の関心事は
「クリスマスプレゼント」だ。
まだスマホを持っていなかったので、12月初めに新聞広告として入ってくるトイザ○スのチラシを熟読し、今年サンタさんに頼むプレゼントを考える。
チョイスの仕方も個性が出る。じっくり型の兄に対して、なんでも直感で決める弟。兄が弟にアドバイスしたり、弟は言うことを聞かなかったり(笑)
それを聞きながら、母は思惑を巡らしさりげなく誘導する。
(それは子供には高価すぎるでしょ)
(むむ、それはイブまでに取り寄せるのは難しいなぁ)
誕生日とクリスマスだけは、なるべく本人の希望を聞いてやりたい。
でも、事情が許さないこともある。そこには大人の戦略も必要だ。
プレゼントが決まると、子供たちはサンタさんに手紙を書く。
クリスマスの朝、お願いしたプレゼントが届くことを信じて、ワクワクした12月を過ごす。
いつだったか、長男がゲーム機を欲しがったことがある。
12月中旬に発売予定だったのに、メーカーの都合で1月にずれ込むことになった。
サンタさんの事情を説明するために、なぜか英語で手紙を書き、当日プレゼントが届かず目録だけを受け取ってがっかりする息子をなだめた。
頼むよ、SONYさん。
アドベントカレンダーの楽しみ
そんなクリスマスシーズン、プレゼントの次に子供たちが楽しみにしていたのが「アドベントカレンダー」だ。
幼稚園の頃は、小さい扉を開けるとチョコレートがひとつずつはいっているようなものを用意していた。
しかし、二人とも小学校へ通うようになると、必ずねだられたのはこちら。
LEGO®️のアドベントカレンダー!!
毎朝、兄弟が扉を開けるのがわたしも楽しみだった。
が、しかし、ここで問題が発生する。
うちの兄弟は持ち味が異なる。
長男はとにかくのんびり屋で平和主義。
幼稚園の頃、いつまでも朝ごはんを食べ終わらない彼に焦れて、
「いつになったら食べ終わりそう?」と聞いたところ
「お昼ご飯までには終わるよ!」とニコニコ顔で返事が返ってくるようなマイペースさ。
それに対して典型的な末っ子気質の次男。
何をやるのも要領が良くすばしこい。そして何より、少しぐらいのわがままに対して周りが寛容であることを知っている。
毎朝、順番にカレンダーの扉を開けてレゴを取り出す約束をしていたのだが、几帳面にルールを守る長男に対して、次男は自分の欲望を優先した。
次の日は自分の番だ、と楽しみにしているお兄ちゃんを尻目に、扉を開けておもちゃを取り出しさっさと組み立ててしまう。注意しても、ニヤニヤして間違えたふりをする。
空っぽになった扉を開けた長男ががっかりする、という日が続いた。
さすがにこれは捨ておけない。
楽しいクリスマスシーズンなのに。
母として、次男に世の中のルールを教えてやらねば・・・!
もう一人のサンタクロース
当時、どこからそんな話を聞いてきたんだったか覚えていないが、
次男を呼んで「ブラックサンタ」の話をした。
クリスマスイブの夜、悪い子供のところにはブラックサンタがやってくる。
普通のサンタクロースが背負っているのと同じような大袋の中には、お仕置き用の石炭やジャガイモ、そして動物の臓モツ(!?)などが入っている。そしてとても悪い子は、その袋に入れてブラックサンタが連れ帰ってしまうのだ。
ドイツの伝承のようだが、日本の「なまはげ」みたいなものだろうか。
wikipediaによると、クネヒト・ループレヒトという人のことのようだ。
クネヒト・ループレヒト(独: Knecht Ruprecht)は、ドイツの伝統的な風習における、聖ニコラウスの同伴者(従者あるいは助手)。聖ニコラウスの日(12月6日)に聖ニコラウスとともに現れ、悪い子供を懲らしめる。よい子にご褒美を与える聖ニコラウスがサンタクロースの原型であることから、これと対比して「黒いサンタクロース」などとも呼ばれる。
「お兄ちゃんにあんな意地悪をしたから、今年はきっとブラックサンタがやってくるね。」
悪戯坊主とはいえ、まだ小学生になったばかりの次男は震え上がった。
そしてクリスマスイブの夜。
さっさと準備を整えて、いつもより早くベッドに入ろうとする長男に対して、次男は一人で寝ることを嫌がった。
この期に及んで自分の悪事を認め、ブラックサンタに連れ去られないよう、見張っていてほしいとわたしに懇願した。
サンタクロースを信じさせたかったのは
ブラックサンタに怯える次男をなだめながら、寝付くまで隣で添い寝をする。
この後やらなければならないミッションのシュミレーションをしながら、何度も眠気に襲われ、自分の術中にハマりそうになる。
無事ふたりの息子が寝付いた後、サンタさんのマイカーに隠してあったプレゼントを運び出し、枕元にセッティングする。
そっと隠されていたプレゼントはびっくりするほど冷たくて、本当に北欧からそりで運ばれてきたようだった。
今思い返すと、子供たちを騙すことになぜあんなに必死だったのか、不思議だ。
でも本当に信じさせたかったのは、サンタクロースが存在するということではなくて、「君たちは今年もとても良い子だったんだよ」というメッセージかもしれない。
2021年のクリスマスも、子供たちがみんな幸せに過ごせますように。
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