2課題の発見前編
こんにちは。前回の話の中で研究の過程を課題の発見、方法の開発、客観的証明の3つのステップからなると言う話をしました。
この中の1課題の発見は1番の難関です。逆に言えば課題を発見した段階で私は8割位の問題は解決できたと思っています。
勿論計画通りに行かないことはあります。それからその課題をモチベーションを持ってやり続けれるのも問題です。けれど時間がかかってもやれれば結局OKなのです。
課題。もっと日常に引き寄せると目的、目標と言う言葉になるかと思います。例えば皆さん今自分が目標にしていることはありますか?今日の目標はなんですか?
後者には割合簡単に答えられるかもしれません。今仕事をしている人はそれが今日の目標といえるかもしれません。
けれど今の目標はなんですかと言う質問はちょっとやっかいでしょう。
この2つの違いは 前者がしなければいけないことを述べているだけな一方で後者は自分がやりたい事を述べる必要があることです。 課題とは本来自分で設定しなければいけないものなのです。
大学の研究は、新聞の原稿の締め切りに間に合わせるというような、どうしてもそれをこの間までにやらなければいけないと言う事はありません。これを研究しなければいけないと言うこともありません。
もちろん研究室にはテーマがあってその予算もある研究目的に対して国などから与えられるものです。しかしその課題設定自体も研究者に委ねられているものです。
これは逆にみもふたもなく言えば、研究者はやってもやらなくてもいいことを自分で課題を決めてやってるのです。ただしそのかわり何か面白いものを作りだせよ、っていうのが研究者の立場であり使命なわけです。
面白いものをつくるために研究者は何をすべきでしょうか。
自分らしさを表現する最適な方法として自分が好きな事を手がけるということが先ずあります。自分が得意なこと、やればできそうなことをするのも手です。最後に評価してくれる人から見ても面白いと思ってくれるようなことをやろうとするのではないでしょうか。
以上の3つの価値をコアにして自分の課題を探索していくわけです。
自分自身の経験から研究プロジェクト、つまり具体的な課題を発見する道筋を述べたいとおもいます。
まずその問題に関わる知識を身に付けることから始めます。例えばがんの研究をやる場合、がんに関わる良質なレビュー論文、トピックのまとめサイトのようなものに一通り目を通します。
それを通じてその分野で今迄どんなことがわかっていて、今何がわからないのか、どんなことが問題になっているのかということを知ることができます。
現在課題になり得ることで自分が面白いと思えるものが見つけられた場合はしめたものです。それが価値がある発見につながると確信できる場合まさにそれは取り組むべき課題なのかもしれません。
次に重要なことだと思っていることが、寝かせることです。
集中をしてそのことばかり考えていてもなかなか思うようにアイデアがまとまりません。しばらくその課題のことを忘れて別のことを手がけるのも良いです。ただしそのままずっと忘れ続けるのではなく1ヵ月ぐらいかけて考えようと言うふうに区切るのも良い方法かもしれません。
こうして寝かせてある間にふと少し別の刺激を入って来た時に、アイデアが急につながってまとまることがあります。自分が普段しないようなこと、経験しないようなことをした時にこそふと湧いてくる気がします。
どんとこいサイエンスアンドテクノロジー。斬新な発想は理詰めと偶然のスパイスの調和というお話でした。研究を例に話しましたがもっと普遍的な事柄に当てはまると、次回続きをおはなしします。