お金だけでは買えないものについて
自分で作りつつ研究に関わる話なんて誰が聞くのかと言うふうに思うんですが、結局僕のコンテンツの場合そういうことを話した方が、反応が良かったりするのでちょっと研究に関わる話をしようかなと思います。
先日ある機会があってとある先生の研究を深く聞く機会がありました。
その先生はもう通常の定年を終えられた後、私立大学に移られ研究人生も集大成にはいられているような状況でした。先生の研究は所謂ど基礎研究と考えられるようなテーマで、もちろんそれ自身の応用の可能性も多分に秘めながらも、知的好奇心に動かされて進まれているような内容でした。ただ僕自身はとても面白い研究だなというふうに思いました。ただ先生も社会的要請にも十分配慮し、その側面でも大きなインパクトになるような研究を実施されようとしておられました。先生はコンピュータサイエンスから生物学まで精通されており、これからの研究は今までの研究人生の全てをかけて行われるような内容で、その話を聞いて私は素直に先生を応援したいなというふうに思いました。これから先の研究に関してはお金があれば進められて確かな答えが出るような研究です。悲しいことにその最後の一押しのお金が十分出るかどうか分からないという不安の中ではあるようでした。
その話を聞いたときにあることに気づきました。この研究は今までの蓄えがあってこそ実現するような研究なので、今すぐ始めようとしても他の人には到底できないような内容なのです。基礎研究ではそういうことが大いにあるのですが、今すぐやってすぐ答えが出せるようなタイプの研究と別に、ずっと継続的にやり続けないと結論までたどり着けないタイプの研究もあります。すなわち時間がかかる研究と言うことです。
そのことをまざまざと実感した時、あーなるほど日本の科学技術が何十年も前から多くの投資と優れたたくさんの人々の努力によって支えられてきたこと自身が強みになるのだなと強く思ったのです。 これはいかに新興国がたくさんのお金を積んでも実現できないような30年分の研究の積み重ねが我々の中にはあるんです。
しかし逆のことも言えば、これから30年経ってしまったら我々が蓄えてきたアドバンテージも失われてしまうという事でもあるのだと思いました。この期間に我々が次のイノベーションの種をはぐくみ花を咲かせることができなければ我々の研究力は相対的に低下していく一方でしょう。
昨今科学技術のレベルが低下していることを危惧されるケースが増えていますが、その中我々の強みを改めて感じる同時に、またその危機についても強く実感するような機会でありました。
これから先は脳科学の時代。その発展で一番影響を受けるのは教育だと確信しています。STEM教育を手掛けたいとせっせと動画をあげています。また子供大人問わず自由研究を応援するSlackを作っております。良かったらご参加ください。