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未完成婚で母になる!?#04 アロマアセクとグラデーション

「LGBTQIA+」

LGBTという言葉が、いつの間にか長くなっており、QIA+が追加されていた。

「QIA+って、何やろな?」

一度くらい調べたことがあったような気がするが、その意味を覚えることはなかった。
関心がなかったんだろう。
自分のことではないから。

「A」は、「アロマンティックやアセクシュアルのA」
今は、調べなおさなくても言える。
なんなら、その言葉をまったく知らない人にちょっぴり説明できるかもしれない。


夫と一緒に暮らし始めてから約2ヶ月のあいだ、夫から抱きしめてきたり、キスをしてくれたりすることが一度もなかった。

抱きつくのも、キスをするのもいつも私から……

セックスに誘っても、すべて断られた。
これは、コミュニケーションのすれ違いだったことが後でわかったんだが…

「あなたの方からスキンシップをとってもらいたい」と頼んだりもしてみた。

「無理だ。できない。」と断られた。

ともかく、私からスキンシップをとらなければ、新婚にも関わらずまったくのスキンシップゼロ夫婦になることは確実だった。

夫は、私からのスキンシップを拒否することはなかったが、自らスキンシップをとりたいと思う気配がまるでなかった。

そのことに、私は深く傷ついた……。

恋人同士なら、夫婦ならイチャイチャして当たり前!
ってか、好きならイチャイチャしたくなるもんでしょう?
なんなら、男の方からしてくるよね?

って、思っていたから……

イチャイチャ欲求がゼロっぽく見える夫を前に、まず「この人、実はゲイ…?カモフラージュのために、私と結婚した?」と思った。

ストレート剛速球しか投げられない私は、「あなた、私に何もしてこないけどさ、実はゲイなの?本当は、他に好きな人がいる?」と単刀直入に夫に聞いた。

「いや、それは絶対にない!違う!」と、夫はすぐさま否定した。
「けど、◯◯さんってゲイなんですか?って、今まで2回くらい本気で聞かれたことがある」と言った。

やっぱりな………
女性にあまり興味を示さない、性的欲求を持ってる気配のない、今よりも若い夫の姿が容易に想像できた。

じゃあ……
私じゃダメなのかな………
私以外だったらいいのかな………
本当は、私のこと好きじゃないのかな………

マイナスな思考に完全に支配され、私の気持ちは地の底の底に沈んでいった…………


そんなとき、布団の中で1人で泣きながら夜な夜な検索して見つけたのは、アロマンティック、アセクシュアルという言葉だった。

LGBTQIA+の「A」

なんか長くなったな〜なんの意味だっけ?と、何度検索しても忘れていた、あの「A」だ。

アロマンティック…他者に恋愛的に惹かれない、性的欲求を抱く場合はある

アセクシュアル…他者に性的に惹かれない

ノンセクシュアル…他者に恋愛感情は持つが、性的には惹かれない

アロマンティックアセクシュアル(アロマアセク)…他者に恋愛的にも性的にも惹かれない


詳しくは、上記サイトをご覧ください。
他にも、色んな言い回しがあり、分類の仕方が人によって違ったりするそう。

う〜〜〜〜ん……???

や、や、ややこしい………
夫はアセクシュアル…?なのか………??

またもや私は、ストレート剛速球をぶちかました。「セックスしたいって思う、性的欲求はないの?」

夫は「特に思ったことはない。夫婦にセックスが必要だと思ってない。私はなくてもいい。」と言った。

頭を殴られたような衝撃が走った。

夫婦に!?

セックスが!? 

いらない!?


そんなこと、ある!?
この人、やっぱりアセクシュアル!?


お先真っ暗だ。

絶望した。

この先、私はセックスなしの結婚生活を送るのか?
まだ39歳だぞ?
死ぬまでに、あと何年あるんだよ!!

そんなの無理!!!!


後に夫は、このときの発言を
「夫婦にセックスが必要だと思わない、とは言った。けど、フラミンゴさんとの関係にセックスが今後必要ない、とは言ってない。」
と言った。

っっっっっっっあああああぁぁっっ!!!

わかりにくっっっっ!!!
屁理屈こねくり回してるだけちゃうんかぁぁ!!!

そんなん誰がわかるかぁぁぁぁぁ!!!!
ボケェェェェェェ!!!!


爆発させたい数々の言葉を必死に飲み込みながら、私は「フラミンゴさんとの関係にセックスが今後必要ない、とは言ってない」という言葉が、希望の光だと感じた。

いつか、いつか……
私の願いは叶うかもしれない……

1年後かな、3年後かな、5年後かな、10年後かな……

できれば、シワシワのおばあちゃんになる前にして欲しいな……
本当は、少しでも若い私に、触れてもらいたいのにな………



ただでさえないペチャンコおっぱいが、もっとなくなるがな!!!

それでもええんかーーーーー!?



現在、「夫はアロマ要素少しあり…?アセクの要素は一般よりある、まぁグレーなのかな〜〜」と、私は受け止めている。

が、わからない。
わかることはないかもしれない。

色々読んでみて、「すべてのセクシャリティは、自認が第一」と知った。

他人が「お前、ゲイなんじゃないの?」「あなた、アセクシュアルだよね?」と言っても、本人が「NO」と言えば違うのだ。

だから、たとえ夫婦であっても、妻に「私の夫はアセクシュアルです」と決める権利はない。

「本人がどう思うか」がすべてなのだ。

アロマンティック、アセクシュアル、キュピオセクシュアル、デミセクシュアル…

色んな言葉を夫に伝え、ネットにあったアロマンティック・アセクシュアルの診断をしてもらったところ、夫は「大多数の方よりはアセクシュアルの傾向もあるのかもしれない」と言った。

だからそう、なのだ。

夫は、自分のセクシャリティに何の疑問も持っていないし、性自認にまったく興味も持っていないので、夫のセクシャリティがわかることはないだろう。


「性はグラデーション、はっきりと決められないもの。千差万別、人それぞれ違う」という言葉もあった。

性スペクトラム、というらしい。
要するに、ただアセクシュアルとそうじゃない人にスパッと分けられるもんじゃない、その間にいる人たちがいる、と理解した。 


夫が完全なアセクシュアルと自認したら…
私はずっと一緒にい続けることは無理だったかもしれない。

でもグレーなら………
お互いの妥協点を探れるかもしれない……


アロマンティックやアセクシュアルの要素が強い方が私の記事を読むと、恋愛至上主義のマジョリティの感覚をパートナーへ押し付けている、と感じ不快に思うかもしれない。

もし、そう思われるのなら…
そっと、戻るボタンを押して退出していただいてかまわない。
不快なものを見る必要は、何もない。

色々と検索をしていたら、アロマンティックやアセクシュアルの方の記事はいくつか出ていた。
お互いにアロマアセクとか、お互いにアセクシュアルとかで夫婦になっている記事もあった。

だから、なんとなく「こういう気持ちなのか」と推し量ることができた。


でも、アロマンティックやアセクシュアルがパートナーとなった、マジョリティ側の記事はほとんどなかった。
というか、あったっけ?

私が読みたいのは、それだった。
自分がどうしたらいいのか、参考にしたかったから。

でも、なかったのだ。
少なくとも、私の目には留まらなかった。
そんなカップルは、ほとんど別れてしまうからかもしれない、とも思う…
そういえば、私と同じような苛立ちを爆発させた知恵袋はあったかもしれない…

ないならば、私が書いちゃえ!
これが、noteを書く原動力のひとつになった。

どうせなら、どっろどろに、心の葛藤をさらしてしまえ!
もともとオープンな性格だ。
中途半端は性に合わない。

このどっろどろは、見る人にとっては不快かもしれない、とも思った。
アロマンティックやアセクシュアルの要素が強い方はそうだろう、と…

しかし、私が今、直接向き合おうとしているのは、アロマンティックやアセクシュアルの「人々」ではないのだ。

目の前にいる、「私の夫ただ1人」だ。

何人ものアロマンティックやアセクシュアルの人々と話をしても、ちょっぴり参考になったくらいだと考えている。

だって、性はグラデーションなんだから、ひとりひとり違うんだから…

目の前の「その人」を理解しようと思わないと、何の意味もないのだ。

私はまだ、完全にアロマンティックやアセクシュアルを自認する方と、直接知り合ったことはない。

お話できる機会があるならば、そのときは、夫との関係の参考に、ではなく、「私の目の前にいる、この人はどんな人なのかな」という気持ちでお話しさせていただけたら、と思う。

そして、その気持ちは、別にアロマアセクもマイノリティも関係ない、万人に共通する人と人とが知り合う上での基本的な心構えだと気付かされた。




さぁて、私の目の前には、黒い仕事机のパソコンに向かう夫がいる。

理解不能な部分がたっぷりの、未知の生物だ。

色んな情報を読んだけど、それはあくまで参考だ。

この未知の生物、夫を理解するには、この夫と向き合い続けるしかないのだ。

この世にただ1人のこの夫と…



この記事を書くために、アセクシュアルの方がオススメしていらっしゃった本を読みました。

この本を読むと、私が相手を傷つける言葉や態度を連発しまくっていたことがわかり、正直苦しかったです…。

相手が、「友達」とかだったら言葉を選べたかもしれませんが…

「結婚したばかりの夫」だったことで、わかりあえない不安と怒りをストレートにぶつけていました。

当時の自分の言葉を書くかどうか迷いましたが、アセクシュアル要素っぽいものがある夫を前にした、自分の戸惑いや苛立ちを正直に書いたほうが、自分と似た立場の方の参考になるかな、と思い書きました。

ご了承ください。
この本の感想は、また別の記事に書いてみました。

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