マトリックスについて考える
『マトリックス レザレクションズ』を観に行こうか非常に悩んでいると言うお話です。3作目(『レボリューションズ』)までのネタバレを多分に含んでいるので、気にする方は読まないでください。
99年公開のはじめの『マトリックス』は5年くらい前に初めて観ました。
とても面白かったんだけど、その後の2作は観たことがなくて、今回の『レザレクションズ』の公開にあわせて、3作一気に観ちゃおう!そして映画館に行こう!と思っていたのだけど、『リローデッド』『レボリューションズ』の面白さが期待していたものではなかったので、それでもやっぱり観に行こうかな〜と鼓舞するためのnoteでございます。
『マトリックス』の面白さ
あらすじ
ハッカーのネオ(キアヌ・リーブス=美)はなんとなく夢の中にいるような違和感を覚えつつも普通に生きていたのに、謎のメールが来たり謎の美女に出会ったり…と思ったら、スーツ&サングラスの男に追われてモーフィアスに出会う。
そしてモーフィアスから、現実世界だと思っていた世界はマトリックス=AIの作る仮想世界だったと聞かされる…。
『マトリックス』の面白さは、誰でも考えたことがあるであろう「ここは本当に現実なのだろうか?」をくすぐる設定に依るところが大きい。第三次AIブームのが00年代に起きることを考えるとAIとの戦争を題材にするタイミングとしても最高。そして言うまでもないけどキアヌ・リーブスがかっこいい!
ただ、個人的にこの映画のもっとも素晴らしいところは、「幸せな奴隷か不幸せな自由か?」という哲学的命題が主題なところにあると思う!
ただの感覚で物を言うけど、昔よりも幸せな奴隷になりたい人間は増えている気がする。私自身、自分のお気に入りの順路を使えばいいのに普通にGoogle マップの示す道に従ってしまうし、ビッグデータにいくらでも情報吸い取らせて自分にマッチしそうな物を絞って提供されたい願望は確かにある。
自由とは?の主題が今になってより現実的にAIに支配される人間を浮かび上がらせているのも物凄い作品だなと思って、何回みても面白いし、カッコイイ!
『リローデッド』『レボリューションズ』
この2作はほぼ繋がっているので、まとめてしまいます。
この時点で1作目ほどの愛がないことがバレてしまうね。
あらすじ
マトリックスのエージェントから無事逃げ切れ、ネオが”救世主”だと判明したが、根本的にはAIたちに追われる立場であることには変わりがない。”預言者”の導きによりAIからザイオン(=現実世界の人間たちの住処)を守ろうと奮闘するが…。
問題はこの2つの作品で、本当に難解というか、何が言いたいんですか?と終始なってしまった。
”預言者”に限らず、マトリックス内に登場するキャラクターたちは全員目的がありその通りに動く。ソースコードの擬人化として見るのが正解なのかと思ってみていたけど、それぞれが少しずつバグを生み出しているのかな?特にネオによって倒されたエージェント・スミスは”救世主”の正反対の破壊者的存在になっていく。
一方ネオも、今までの人類愛にあふれた記号的な”救世主”とは異なり、トリニティーの個別的な愛によって一種バグのような選択をするが、結果としてそれが長年のAIと人間との長い戦争の休戦へと結びつく。
という見方で合っているのだろうか…?
『マトリックス』の面白さであった哲学的命題が薄れ、なんだったら運命とか目的によって動くこと、が多く登場して混乱する。自由とは?現実とは?を問う面白さを期待していた者としてはちょっとガッカリ。”救世主”なら人類を守る方を選ぶはずなのに、記号や奴隷ではなく自由に選択をするからトリニティーを救うことを選んだ、ということなのだろうけど。
もっというと1作目の話になってしまうけど「あなたの愛した男が救世主だ」と伝えられるのは記号的でしかなくて自由とは程遠いような気がするのだけどどうなんだろう?
とはいえ戦うシーンは相変わらず面白く(1作目のトリニティーとの共闘シーンには劣るが…)、AIの知識がもっとあればもう少しキャラクターを理解する難解さが消えて主題的なものが見えたりするのかなとAIの勉強を始めてみた。
ここまでするなら&考えているなら、絶対に観ないと公開するよな〜と思っているので、なんとか映画館に行けるように諸々調整しようとおもう。
最後に、余談ですが、私はAIの反逆によって人間とAIが戦う未来はこの先ないと思います。一方でAIを扱う人間と扱わない人間の間で格差が生まれたり戦争が起きたりする未来はあるのではないかと思っているので、思考し続けて苦しくても自由でありたいと望んでます。(だから『マトリックス』が大好きなんだ!)